気の向くままに徒然と・・・
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遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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ガタン、ガタン・・・
相変わらずリズム良く進んでいく。
窓から差し込む陽が眩しくて、目が覚めた。
寝ぼけた頭で自分の現在の状況を確認すべく目を開く。目の前に有ったのは広げられた新聞だった。
新聞?
一瞬自分がいる場所が分からなくなり思考回路が停止する。
体を起こすと、その新聞に隠れて顔は見えないが新聞を支える手が見えた。
自分の現在の状況を思い出しながら、目の前に存在するものについて考える。
客か・・・。
どうやら、寝ている間にどこかの駅に停車したらしい。
しかし、ずいぶん失礼な客だ。断りも無しに人の目の前に座るなんて。
席は他にも空いているというのに…。
「おっ、やっと起きたのか?おっ前、良く寝るなぁ」
相手の顔が見えないのをいい事に、しばらく睨みつけてみたがまったく効果はない。
しかし、反応はあった。テンションの高い、聞き覚えのある声が飛んできたのだ。
新聞から顔を出したのは、夜中に出会った変な少年だった。
「ほれ!見てみん、一面!昨日こんなんあったらしいよ、久々じゃん!」
少年は、ニッと笑いながら新聞を差し出してくる。夕べは気づかなかったけれど、彼の目は綺麗な蒼色だった。髪の色はと言うと、美しいと表現しても言い過ぎないほどの黒髪だった。
「…何なんだよ、お前・・・」
変に開いてしまった間を隠すためにも文句を言いつつ、彼から新聞を受け取る。
折角、一人でのんびり出来て静かだったのにな・・・。
目の前の少年を睨みつけてから、新聞に視線を向ける。
新聞にはいくつか大きな見出しが書いてあった。ここ最近は、平和でくだらない事が書かれていたが、今日は少し違うらしい。大きく書かれた文字だけを順番に拾っていく。それを見た瞬間、思考が固まった。
まさか、もう記事になっているとは・・・。
「な?な?すごくない?」
と彼は僕に感想を求める。
一面のトップの見出しはこんな風だった。
『空白の時間狙われた!?主都銀壱千万盗まれる!!
確かにすごい。
こんな、ひねりのない見出しをつけるなんて・・・。
主都銀とは、主都中央銀行の事だ。この国のお金に関わる全ての事がここで行われている。
よって、大金があるのもこの銀行だけだ。ほかの、町の銀行では話しにならない。
話しってのは、もちろん銀行強盗する連中からの意見であって、普通の利用者からすれば、小さな銀行でも事足りる。
ちなみに、『空白の時間』とは早朝に全ての業務が交代される時間の事だ。
この時間は、全てのセキュリティーもストップしているし、銀行内も空っぽになってしまう。
前々から危ないと指摘されてはいたが、システムの関係上どうしてもそうなってしまうらしい。
「まぁ、いつかやられるだろうなと思ってたよ」
新聞の見出しと同じように、何のひねりもない感想を言って新聞を返そうとしたが、それを突き返される。
「はあ?何の話してんの?オレが言ってんのはコッチ」
と言いながら、彼は新聞を僕に見せながら問題の記事を指差す。
そこには、こんな見出しが書かれていた。


『第三王子、再び?手紙残し失踪!』
「良くやるな」
思わずそんな言葉が漏れていた。
「だろ?そいつ、家出すんの確か、今年で五回目だよな?」
「そんなにだっけ?」
ちなみに、今年に入ってからはまだ三ヶ月しか経っていない。
第三王子は、家出王子というあだ名で有名な王子だ。他にも、様々な噂があり王位継承も絶対にありえないだろうという話しだった。
この国は生まれた順番は関係なく、国王の子どもだと認知された男の子全員に王位継承のチャンスが与えられる。
そして、国王を選ぶのは国王と政治関係者の貴族、そして国民。選ぶ権利が無いのは、その兄弟と母親そして、政治に関係していない貴族ということになっている。
現在、王位継承権を持っているのは全部で三人。
そして今、一番有力なのが第二王子だ。
それぞれの王子の印象は新聞やラジオなどで伝えられるが、記者や広報係のひいきもあり、あまり当てに出来ない部分もある。
一番いいのは、自分から見に行くことだ。別に、演説やらなにやら活動を行っている訳ではない。しかし、それぞれ学校へ行ったり、町へ出たり普通に生活しているので、そこまで遠い存在ではないのだ。
第三王子を除いは。
彼は、色々と問題があり外出自体が禁じられている。禁じられているからこその家出なのだろう。
関係ないが、僕、個人の意見としては、第一王子の方が感じが良くていいと思うのだが・・・。
色々と不利な事が彼には多い。
「オレ、コイツに王位継承して欲しいんだよね」
新聞を見ながら、彼はそんな事を言い出した。
「はあ?何で、こんなやつに?」
彼の言葉を聴いた国民全員が、きっと同じ台詞を言うだろう。
「だって、一番人間らしいじゃん」
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