神様は残酷だ。
どうして、彼女は幸せになれなかった?
どうして、病気にかかったのが詩望だった?
だれが、こんな結果を望んだ?
『だから、ありがとう。そう、これが言いたくて手紙書いたのにね。変な事ばっかり・・・。
後悔がないとは言えないけど、私は私にできるかぎりの最高の人生を過ごせたよ。
だから、逸貴はもっと幸せな人生を過ごしてね。それが私の願いです。
そして、最後にワガママを一つ。私に負けないくらいの、素敵な彼女を見つけてあったかい家庭を作って、そして・・・覚えていたら、私に見せてほしいな。
逸貴が幸せにしてるってちゃんと知りたいから。
だから、待ってるね。
でもね、本当に逸貴には感謝してるよ?
私を好きだと言ってくれてありがとう
たくさんの幸せをありがとう
逸貴のおかげで私は、笑っていられた。
一番辛いのは、無理して笑う逸貴を見てるときだった。逸貴が笑ってるなら私も笑わなきゃって・・・。
だから、私は最後まで笑ってるつもり、それはうまくいったかな?
そんな風に思えたのも逸貴のおかげ。
だから、ありがとう。
逸貴、ありがとう。』
最後の一言を読み終えて、オレは堪えていた涙を落とした。
彼女がいなくなってから今日まで、ずっと何かを探してた。
オレが彼女にあげて、オレが彼女からもらったもの。
それはきっと、まったく同じものだった。
彼女の言葉を信じよう。彼女の願いをムダにはしたくない。
でも、もうしばらくは彼女の影を追い続けてもいいだろう?
まだまだ、詩望という存在が大きすぎてそれをココロの中に仕舞うには無理がある。
もう少しだけ、もう少しだけ彼女の笑顔を夢に見よう。
明日は、マスターに時間を貰って彼女の家に行こう。マスターに見立ててもらった制服を着たまま、短い手紙を持って、久々に彼女に会いに行こう。
End.
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