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自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

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さくらの便り 14


「ソウ」


わけが分からない。
そんな状態で固まっているとシンに名を呼ばれ、なんでもいいから言葉にしなければという気になるが何かが詰まってしまったかのように言葉も声も出てこない。

「思い出せない?」

シンがおれの言葉を使って問いかけてくる。

「サクと一緒に遊んだ筈なのに。覚えてないんだ」

呼吸するのはこんなも難しいことだったろうか?
思うように出てこない言葉。
いくら思いだしくたても思い出せない記憶。

「何したとかそうゆう事…なんでだろ
…サクの声は思い出せるのに
アオって呼んでたくれてた。
だけど、サクが、サクの顔とか姿とか
なんでだろ…覚えてないんだ。思い出せないんだ」

ただ出てくる言葉を紡ぐ。
意味なんて考えない。
理解してもらえるかどうかなんてどうでもいい。

「ソウ…まさか」

「まさか、だろうな」

意味なんて理解できない。
冷静なクギとシンの声。
二人の声に安心を感じたのは初めての事だ。

「シン、お前何を知ってるんだよ」

「俺は何も知らないよ」

「え?知ってるんじゃないのかい?」

「本貴さん。あなた俺に会ったことあります?」

「いや」

「じゃあ、馬鹿なこと言わないでください」

「だけど」

「お前のその態度、口ぶり全てが知ってそうに見えるけど?」

「これは性格だ。直せと言われて直せるもんじゃない」

「シン…」

「俺は、ただ仮定して考えて物事を組み立てて、勝手に予測をつけているだけだ。
俺が思っていることがそのまま事実だとは限らない。いや、事実である可能性はかなり低いだろうな」

「なんかもうオレお手上げ」

「ソウに記憶がない理由とか手紙についてとか俺になりに勝手に仮説を立てた」

「うそ」

「正解なんて俺には分からない。
それでも構わないというなら話そうか?」

じっと黙ったままシンを見ていたのがバレていたのか、
彼は一呼吸おいてから
おれの眼をみながらゆっくりとそう言った。 

「頼む」

二人のどこかのんきさが漂う会話を聞き流していれば
思考回路がおかしくなったなんて嘘のようだ。

短くはっきりとシンに意思を伝えれば彼は軽く頷いてみせた。
ほんの少しでも思い出す事ができるならおれはその可能性にかける。

なによりも
相手はシンだ。
おれが悩んだときいつも彼は最良の道を教えてくれた。
 


 
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