気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「コウタ君だね。よろしく」
そう言って、彼は手を差し出してくる。
ニッコリと笑いながら。
ボクはゆっくりと手を差し出した。

「ほら、もうこれで知らない人じゃないだろ。
ちょっとした冒険に一緒に行こう」
腰を屈めた彼はボクの顔を覗き込みながらそう言った。
ボクは思わず1歩後ずさる。
「大丈夫、怖くはないよ」

「っ!怖くなんかない!」

ダレもいない川原に声が響いた。
最初ダレの声だか分からなかった。
自分の声だと気づいたのは、ヨアケが可笑しそうに笑っていたから。

慌てて両手で口をふさいだ。

「怖くないなら大丈夫だろう?」

ぐっと下唇を噛み締める。

「分かった。行くよ。おじさんに着いて行く。
虹の秘密ってのを見たい」

ボクは早口に一気に言い切った。
しかし、ヨアケの返事はない。
見ると、何故か片手で口元を覆っている。

「くくくっ。コウタ君おじさんはないんじゃないかな?」
「え?」
「できれば、ヨアケと呼んでくれないかい?」
「・・・?分かったよ。ヨアケさん」

うん。と満足そうに頷くとニコリと笑った。

「よし。じゃあ、まずは目を閉じて」


目を閉じると全身の感覚が良くなり
今までなんでもないように思っていたことが
そうでなくなる。
遠くに聞こえる町の音。
川を流れる水の音。
そしてふわりと全身に風を感じた。

「さあ、目を開けてごらん」

すぐ側でヨアケの声が聞こえる。

ゆっくりと瞼を上げる。
最初眩しすぎて何も見えなかった。

「どうだい?」

「あれ・・・・?」

さっきは見上げていた虹が目の前にあった。

「どうなってるの?!」
「それは企業秘密」
人差し指を立て唇にそっと当てながらヨアケは楽しそうに言う。

町の外れに流れる大きな川の側で虹を見ていたはずなのに
目を開けたらまるで別の場所にいた。

近くに見えていた一番高い建物の上だ。
見回すと、近くにある建物の煙突から煙が上がってるのが見えた。

「これから、もっと上に行くよ」
「え?」
「さあ、おいで」

ヨアケはフェンスに手をかけるとそのままひょいと飛び乗った。

そしてボクを手招きする。

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