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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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お日様が見えてるのに
雨が降った

「狐の嫁入りだよ」
誰かが言った。

ボクはその人を見あげる。

「狐?」
「そう、狐」

どうして、雨と狐が繋がるのか分からない。

「ごらん、虹が出てきた」
今度はその人が遠くを指差しながら
ボクを見る。
ボクは、その人がさす先を見た。

「ホントだ」

大きな虹が空いっぱいにかかる

綺麗な虹だった。

「私はね、子ども頃から不思議に思ってた事があるんだ」
隣に立つ男の人が語りだす。
「あの虹の向こう側には何があるんだろう?ってね」
「虹の、向こう側?」
「不思議じゃないかい?」
そうは言われても良くわからない。
そもそも、あの透けるような虹に「向こう側」が存在するのだろうか?

だからボクは首をかしげる。

「伝わらなかったかな?じゃあ、あの虹の始まりは?」
「そんなのないよ」
虹は浮いてるんだ。
どこにも、始まりも終わりも存在しない。
「どうしてそう思うんだい?」
「だって、あれは雨とお日様が見せてくれる幻なんだ。だから、始まりとか終わりとか確かなものはないんだ」
「へぇ、それはダレに聞いたの?」
「父さんに・・・」

「じゃあ、一緒に見に行って見ようか?」
「え?」
「連れて行ってあげるよ。それで、見せてあげるよ虹の秘密を」


「行くってどこへ?」
「だから、虹の秘密を見に」
にっこりと笑いながら男が言う。

なんだろうこの人は?
中折れ帽を被って銀縁眼鏡にスーツ姿。

パッと見は父さんと同じサラリーマン。
けど、この人は何か違う。

「虹の秘密って?」
「秘密は秘密だよ?」

思わずおでこのあたりに力が入った。

「信じられないって顔だね」
「だって、わからないもん」
「大丈夫、行けばわかるよ」
「行かないよ」

そこで初めて男の人は表情を崩した。
すごいビックリしてる。

「だって、知らない人についてっちゃ行けないんだ」
学校の先生にも何度も言われた事。
「うん、そうだね。じゃあ知ってもらおうかな」
「え?」
「私は、ヨアケ」
「よあけ?」
「そう、ヨアケ。よろしくね」

ヨアケと名乗った男の人は再びニコリと微笑んだ。

「キミは?」

「・・・・コウタ」

仕方なくボクは名前を言った。
もういいや。
どうにでもなれ。



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