「それで?どうしてこんな事になってるんですか?」
話を元に戻すためにも、レイブンが半ば無理やり会話に入った。
「いや、先ほど列車内を見回ったときに、たまたま見かけてな」
「見ただけで?」
当然と言えば、当然なレイブンの質問。
「・・・・・・」
兄さんは何故か答えない。
「指名手配されてるんだよ」
「レイン!」
言ってはいけないというのか、兄さんが名を叫ぶ。
「まさか、そんなはずはないわよ?毎日、指名手配犯確認してるもの」
「それは、国警のだけでしょう?」
確かに、指名手配犯は毎日新聞で知らされている。しかし、それは国警が追っている連中だけで、立警が追っている人間は国民には知らされない。立警が追うのは、王家が関わっているときのみ、故に国民には関係が無いと言う事で、知らされていない。
国民に伝えた方が、早く捕まるだろうが、王家としてはあまり知られたくないとう思いが強いらしく、極秘で捜査されているのだ。
「どうゆうことだ?」
頭上から声が降ってくる。
「さっき自分で言ってたじゃないですか?何で、『立警と国警が一緒にいるんだ?』って」
「あんた達を追っているのは、立警だよ。第二王子を騙しただろう?」
「な、何故、お前が知ってるんだ!?」
「レイン!」
再び兄さんが僕の名を叫ぶ。
「お前は、もう黙ってろ」
威圧するような声で、そう言った兄さんはこちらへと近づいてくる。
「おっと、それ以上は来るなよ」
僕を掴んだまま、パロットが一歩下がる。
数歩進んだところで、兄さんは立ち止まった。
「まあ、そう焦るな。今の話、聞いていただろう?そうゆう訳で、お前を捕まえさせてもらうよ」
そして、一歩前へと進む。
同じように、パロットが下がる。
「来るな!本当に撃つぞ!」
グッと、拳銃に力が込められたのが分かった。
そして、兄さんと目が合う。
どうするつもりなのだろうか?
「今なら、まだそんなに罪は重くない。しかし、その子を撃ってみろ?その瞬間に、お前は死刑だ」
スッと自然な動作で兄さんは銃を構える。
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