気の向くままに徒然と・・・
| Admin | Write | Comment |
カウンター
New!
~足跡~
[01/12 館主 遼]
[01/12 nameress]
[05/20 館主 遼]
[05/20 蒼月薫]
[04/11 館主 遼]
プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
Letter
バーコード
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「お久しぶりでございます。お二人とも、大きくなられました」
「3年経っても成長してなかったら、大問題だよ」
「そういう問題じゃないだろう」
真面目な挨拶に冗談で返し、それに修正を加える。
「相変わらずですね、お二人とも」
さきほど自分が口にしていた言葉を、そっくりそのまま返されなんともいえない気分だ。
「どうゆう意味ですか?」
「仲がいいって事でしょう、スグリさん」
「ええ、そう・・・かもしれません」
スグリのどこか中途半端な言葉を聞き、シュタが怪訝な表情をする。
「ちょっと、キミ。一般人をそんな怖い目で睨まないであげなよ」
「何が一般人だ。英雄に自分の眼力が通じるとは思わないぞ」
スグリは、理事長お付きの世話役のようなものだ。理事長が王家を出る際に、条件として彼をつけた。
「英雄だなんて、もう誰もそんな風に私を呼ぶ人はいませんよ。昔の話です」
まだ自分達が生まれる前の話の事だ。この国は近くの大国と戦争をしていた。国を守る最後の砦として置かれた隊を仕切っていたのが当時20にもなっていないスグリさんだった。
結果だけ言ってしまうと彼は見事国を守り抜き、追い込まれたその状況から国を勝利にまで導いた。
理事長室がある廊下を抜け、様々な教室が並ぶ廊下に差し掛かる。
「それでも、俺はスグリさんを尊敬しています。ここにいる間にも色々お世話になったし」
「確かに、世話にはなったね。僕ら揃って」
「全部お前のせいでな」
「なんでそうなるかな」
「あ、スグリさんストップ。シュタ、防護壁を」
僅かな異音を聞き取り、彼らの足を止めた。
言い終わった瞬間、目の前が熱気に包まれ、轟音が響く。
衝撃はまったくない。目の前で起こっているけれど、全てが壁一枚向こうでの出来事で終わってしまう。
「派手だな~」
「危ないですね。ここの壁にも術を織り込むべきでしょうか」
どこか、のん気なシュタとスグリの声が聞こえた。
俺は振り返り、そんな二人に釘を指す。
「何をのん気な事を、一歩間違えれば死人が出てた・・・・」
ひらりと何かが降ってきた。
カタンと音がして床に落ちる、実習室と書かれた札は前半部分が吹き飛んでいて読み取れない。
煙が充満していて、爆発が起こった教室内は様子が分からなかった。もしかしたらけが人ぐらいはでているかもしれないが、これではどうしようもない。
「風でも起こして、どうにかする?だってほら、目が痛くない?これ」


「怪我人はいるか!!」
教室から人影が現れ、慌てふためきながらもあたりを見回し叫ぶ。
「あれ、ウェル先生」
それが見知った人物であることに驚き、思わず場にそぐわない声をあげてしまった。
ここはまず、無事であることを伝えるべきだろう。
「え?アキシェ君!って事は、やっぱりシュタルク君!そっか、二人とも明日卒業式か」
最初こそ焦った声を上げていたが、相手が俺だと認識した時点で問題がないと判断したらしく、話題が世間話へと移ってゆく。
「先生、俺とシュタをセットで考えるのは止めてくださいって言ってるじゃないですか」
「そうかい?二人はいつも一緒じゃないか。それより、おめでとう」
「いえ、それはありがとうございます」
頭をさげて礼を言って、自分達の中途半端さを実感する。
確かに特例で卒業を許されたが、それはあくまで特例で正式ではなかった。
それが、明日正式にこの学園を卒業できる。
元々決められていた年齢になったからこそ許されたものだった。
学園内に卒業できる単位を取り、試験に合格したものが何人か出たということで卒業式を行う事に決めたのだろう。それに、自分達はついでに呼ばれたことになる。
「そんなことより。何をなさっていたんです?こんなところで?」
現状を思い出し、教室に視線を向けながら尋ねた。
「そうそう、ここ魔法実習室じゃないですよね?」
シュタが先ほどの札とは違う切れ端の部分を持って尋ねる。どうやら、前半部分を見つけたらしい。
「魔法実習の失敗ではないんだ。ちょっと、やらかしてしまってね」
「では、何をなさっていたんですか?」
自分とシュタを押しやりスグリがやや声を抑えて問う。
「え、スグリさん。何故、ここに?」
「彼らを案内するためです。それより、何を?」
「ちょっと薬の調合を・・・補修になった生徒達の面倒を見ていたんです」
「ここは、調合室でもありませんよね?」
「スミマセン。調合室に空きが無かったもので・・・・」
「どんな薬の調合してたら、こんな爆発起こせるの?先生、それより、生徒は無事?」
シュタが呆れ混じりに聞いて、教室内を指差した。
「ああ、それは問題ない。全員、結界魔法を使えたから」

「では、騒ぎにならないうちに片づけを始めてください。私は、報告してまいります。申しわけありませんが、お二人とも少しお待ちいただけますか?」
「それは、もちろん」
シュタと二人でスグリの後姿を見送り、彼が見えなくなってから問題を起こした教室の中を覗く。


戻る?進む?
PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[288] [287] [286] [285] [284] [283] [282] [281] [280] [279] [278]
忍者ブログ [PR]
material by:=ポカポカ色=