鍵の数は全部で四つ。
小さな鍵が二つに、大きな鍵が二つ。小さな鍵は、先ほどの引き出しの鍵と同じような鍵だ。
大きな鍵は、一つはごく普通の家についているような鍵だったが、もう片方は変な形をしていてかなり大きい。
「他にカギ掛けそうな場所は?」
永夜が鍵を手の中に収め、一度握りこむ。そして、視線の高さへ持っていったかと思うと宙へと放り投げる。
チャラっと音がして落下。それを、両手で挟み込むようにキャッチする。
「さあ?」
「さあ、ってお前。ないの?」
「僕の見た限りでは。」
「う~ん、ラッピングされた箱の中にカギ束って、お前のお父上は何を考えてんのさ。」
「それが、分かったら苦労しないんだけどな。」
「・・・それを、お前が言うのか。かなた。」
「だって、そうだろう?」
「確かに、だけどさ・・・。まあ、いい!探そうぜ、絶対どっかにあるって!無くても、ヒント位はあるだろう?」
椅子から立ち上がり、鍵を僕に寄越す。周りをきょろきょろと見回してから、座っている僕を見下ろす。
「で、どこ探せばいい?」
「永夜、お前ならどこに鍵かける?」
部屋の中は、もうほとんど見尽くしている。鍵の掛かったものなんて僕は見ていない。ならば、探す前に少し考えた方が、いい様な気がして彼にそんな事を尋ねてみる。
「え?オレ?んー・・・・・・あっ!鞄だ!」
「え?」
結構な沈黙を間に挟み、思い出したようにおおきな声を上げる。
「クローゼットの中にあった鞄で、一個開かないのがあったんだよ。壊れてんのかと思って気にしなかったけど、カギ掛かってたのかも!」
嬉々としてそんな事を言う永夜は、早速クローゼットへと向かう。僕は動かずに彼の行動を見守った。
「これなんだけど。どう?」
目の前に鞄を差し出されても、僕は見ただけではわからない。
「鍵はついてるみたいだな」
それだけ言って、永夜から鞄を受け取った。
鞄はまったく使われた形跡はない。鍵も、中のものを守るためとかではなく、オシャレのためについているもので、玩具のようなものだ。
鍵束の中から一番小さな鍵を選び、鞄の鍵穴に合わせてみる。
すると、鍵は素直に刺さる。そのまま、ほんの少し力を加えるだけで、鍵は外れた。