「何だ?パソ吉って。というより、一号はどうした?」
聞くべき事がどこかズレているかとも思ったが、それが素直に疑問に思った事だった。
「一号は古いから処分した。ほら、結構な値段どおり性能良くて、使いやすくて気に入ってんだよね。」
抱えられていた紙袋から取り出されたのは、ノートパソコンだった。
「いやー。時代ってのはすごいよな。うん。あの頃から考えたら、まさかこんなもんが出来るなんて、想像もつかなかったよ。」
永夜の言う「あの頃」というのがどの頃かが分からないので、その感動の気持ちは測り知れないが、まあ、理解できなくも無い。
僕も、それなりに古い人間だ。
今では平成生まれの連中が、普通に中学生をやっている時代だ。昭和生まれがものすごく古く感じる。けれど、もう自分としては、いつ生まれたかなんて関係無くなるのだから、どうでもいい話しだ。
「商売って、何やってんだよ?」
先ほどから、商売道具だと言っているのが、気になっていた。パソコンで何を商売しているっていうんだ。
「ん~。占い師…みたいな感じで。」
「はあ?」
さっきから、お互いにこんな会話ばかりだ。
答えが意外すぎる。
「インターネットでホームページ開いて、オレの面白能力使って、恋の相談やら何やら、特殊な薬売ったり、色んな悩みの解決方法教えてやったり、あとは、ギャンブルを少々。ちなみに、それで稼いだ金がオレの生活費になります。」
「・・・・・・。」
「何?もしかして引いてる?しょうがないだろ、他に思いつかなかったんだから。」
いや、だとしてもマズくないか?インチキだろ、どうせ。ギャンブルだって怪しいもんだ。
「あっ、お前、今インチキだと思っただろう?ところが、これが正真正銘本物で、百パーセント当たるんだな~。占いにしても、ギャンブルにしても。」
考えていたことを当てられると、少し怖い。しかし、百パーセント当たる占いなんて、逆につまらなくないか?
「まあ、ともかく。オレはオレのやり方で上手いこと百年以上生きてきたわけよ。」
無理やりまとめられた気がするが、彼の言葉は妙に説得力がある。
お互いの話題が中途半端なまま終わりを迎えると、自然と会話がなくなる。急に静かになってしまった部屋はなんだか、とても居心地の悪い部屋になった。
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