気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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永夜と契約を交わした理由?
「いいか?かなた。お前にはちゃんと、生きたいと思った理由があるはずなんだ。じゃなきゃ、契約は成立しない。」
「何で、そんな事が言えるんだ?お前は何を知ってるんだ?」
「だから、知ってる訳じゃない。つーか、落ちつけ。かなた。じゃないな…。ちゃんと考えろ。今のお前は少し、落ちすぎだ。上がってこい。たっく、どうしてそこまで、自分追い込めるかな?」
落ちすぎ…?
意味が分からない。
上がれってどこへ?
何の話しだ?
「ああっと、かなた。モラトリアムの意味は?」
何なんだ、急に?
思い出したように出された話題は、まったく意味の分からないものだった。
「猶予期間。」
無視しようかとも考えたが、ここは、素直に答えておく。
なんとなく、そうした方が良かった気がしたから。
「うん。んで、お前には4年間の猶予期間があったんだ。」
「何の話なんだ?ちゃんと主語をつけろ。」
「だ~から!契約の話しだ。おかしいと思わなかったのか?十六でオレと契約したのに…」
知ってるはずだろう、と言わんばかりの彼の台詞に少しあきれてくる。
まったく、彼らしい話し方だ。
そこで、少し思考をめぐらして見る。
「二十歳まで、普通に過ごしたのが…モラトリアム?」
「そう!その場のノリで契約した可能性もあるから、証だけ残して、オレは姿を消した。ついでに会話の記憶も消しといた。もちろんオレっていう存在も記憶に無いはずだ。それでも、二十歳の誕生日まで、あのときのお前の考えが保たれていたら…契約は成立。今にいたる。四年間だぞ?四年間。お前は何を思って生きてきたんだ?」
何を思って生きてきたんだと問われ、もう一度自分について考える。
僕は、何のために生きている?
何のために、ヒサヤと契約した?
今ではなく、過去を思い出す。
「ったく、お前のそのマイナス思考っぷりは、死んでも治らないよな。これから先が思いやられるよ。」
人が、真剣に考えていると言うのに、彼は軽口を叩いている。
「俺は、お前のその短絡的な思考が羨ましいよ。どうすれば、そんなバカでいられるんだ?」
皮肉たっぷりに返した台詞は、半分本音だ。
「ん~。人間、長~く生きてりゃ、全ての物事が、生きた分だけの長さの物差しで図れるようになるんだよ。」
まじめに答えてるのか、冗談を言ってるのか判別がつかない。
しかし、彼のいう事が本当なら…。
「んで。生きる理由は見つかったのかよ?ちなみに、オレはお前の生きる理由を知ってるぞ。あの時、しっかりと聞いたからな。お前の、かなたの本当の言葉を。」
ニヤリ。
と笑いながら、去って行く姿は少し怖い。
といより、何を知ってるって?
いつ、そんな話しをした?
「お前のベッド借りるぞ~。」
軽く手を振りながら、部屋を出ようとしている彼を、慌てて止めようと立ち上がる。
「おいっ。ちょっと待て!勝手にどこ行くんだ?」
「だから、オレは、ここんとこまともに寝てないから、ものすごく眠たいの。考えるぐらい一人でできるだろう?ヒントはだしまっくたぞぉ?」
大きなあくびをしながら、再び歩き出す永夜をもう止める事はしなかった。

一人になったところで、大きく伸びをする。
部屋の中は、いつもとは違う静けさが漂っていた。
閉まりっぱなしだったカーテンを開けるために、窓の方へと向かう。そういえば、先ほど彼も同じような行動をしていた事を思い出す。
カーテンを握り締め何を考えていたのだろうか?
閉ざされていた向こうの世界は、もうすでに、明るくなり始めているところだった。
「もう、夜明けか…。」
意外に時間が経過していた事に驚く。
「今日は何曜だったけか…つーか、今何時?」
時刻を確認しようと、振り返ったところで、僕の部屋の方から音が聞こえた。
「ジュウイチガツ、イツカ、ド、ヨウビ、ゴゼン、ロくジ、ニジュウロップン。」
変な途切れ方をする無機質な機械の声が、知りたい事を全て教えてくれた。
どうやら、永夜が枕元にあるデジタル時計の機能で遊んでいるらしい。
何となく、笑えるなと思いつつ、冷蔵庫へ向かう。
水の入ったペットボトルを一本持って、今度は部屋の真ん中に置いてあるソファに蹲る。
一瞬、このまま眠ってしまおうかとも思ったが、残念ながら今すぐに寝られるほどの眠気は無かった。
「まあ…あんだけ寝ればな…」
そういえば、一人暮らしを始めて、それまでと確実に変わったことが一つだけあった。
それは、独り言を言うようになった事だ。
そんな、くだらない事を考えながら、思考を切り替えてゆく。
さて、何から考えたらいいのだろう?

後悔しているかと?聞かれれば、していないと答えるだろう。
では、理由は…?
昔考えていた事?
そもそも、どうしてこのような状況になったのか…?
というより、理由なんてどうでもいい様な気がしてきた。
考えるのが面倒くさくなったとも言う。
こうなってしまったのだから、仕方がないんだ。
これから先、ありえないぐらい長いんだ。
自分にしては珍しい思考に、自分で驚く。
永夜を見習って、深く考えないようにしなければ、もたないだろう。これから先、色々と。
しかし、人間考えることを放棄したらどうなるのだろうか?
無意味に生きるのだけは避けたかった…。
けれど、このまま考え続けても答えは出ない気がする。
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
自分で自分に問いかける。
それが分かっていれば最初から悩まずに済むか…。
振り出しへ戻る…か…。

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