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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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読めなかった手紙 4

時間を忘れて話をしていると、パラパラと客がやってき始めた。
どうやら、おやつの時間らしい。
この時間は近所の主婦たちが、甘いお菓子とコーヒーを注文してゆく。
普段ならば、その中に学校帰りの女子高生も混ざっているのだが、今日は冬休みだ。
店内がざわつき始め数少ない、客席が満席になった。
しかし、年末ということもありピークはあっという間にすぎる。
短時間の休憩とお喋りで、みんな帰ってゆくのだ。
「もう夕飯の時間だね。あたし、今日約束あるんだった」
「へぇ~。めずらしいね。まあ、でも、そろそろ帰らなきゃな・・・」
「ササ君、ケーキはどうするの?」
「あ~、どっか適当に探すか」
「何だ、笹帆。ケーキ買うのか?」
「そうだ。雲さん、どっか美味いとこ知ってます?」
歌理さんが立ち上がると、みんな一斉に立ち上がり始める。
来る時はバラバラだが、何故か3人とも帰るときはいつも一緒なのだ。
「じゃあ、そろそろ閉店かな」
マスターがカウンターから出て、3人を送りながら、看板を下げるために外へ出る。
「じゃあ、マスター!また、明日」
「じゃねー。マスター」
「マスター。今日もありがとう」
3人が、それぞれ別れの言葉を言う。
「ああ、歌理さん、笹帆くん、雲さん。サヨナラ、気をつけて」
軽く、片手を上げてマスターが手を振る。
「イツ君!」
店内に残っていたオレに歌理さんが、手招きしてくる。
「何すか?歌理さん」
「まったく、イツ君、お客様はちゃんと送り出さなきゃダメでしょ?」
「ああ、スミマセン」
そんなこと、すっかり頭から抜け落ちていた。
のんびり、見送っている場合ではなかった。自分はここに働きに来ていたということを思い出す。
「もう、イツ君はどっか抜けてるんだよね。お姉さんは心配だよ」
「イツ、歌理に心配されたんじゃ終わりだぞ」
「ちょっと、ササ君?それはどういう意味だい?」
「ほら、いつまでも店の前でジャレてたらマスターの迷惑だろ?」
「じゃ、イツ君。これ」
雲さんに注意され、歌理さんが笹帆さんを投げ出し、オレに向き直る。
そして、何かを差し出された。

「・・・・・・・?」
オレはそれを見たまま、静止する。どうしたらいいか分からない。
「受け取ってあげなよ。逸貴くん」
「あ・・・はい」
マスターに言われ、歌理さんの手からそれを受け取る。
「イツ君、アルバイト初めてでしょう?だからね」
「そう。俺たち3人で、初バイト祝い」
「仕事は覚える事が第一。何でも教えられた事はメモっていった方いいよ」
渡されたのは、ボールペンと小さなメモ帳。
「メモ帳は安いけど、ペンはそれなりだからね」
「そうそう。折角だからね」
歌理さんの言葉に、笹帆さんが続く。
「ありがとうございます」
出てきた言葉はそれだけだった。
本当はもっと色々言いたい事がある。
貰ったものに視線を落としながら、頭の中では色々な言葉が渦巻いている。
ずっと、良くしてもらっていた。マスターも、歌理さんも笹帆さんも、雲さんも。
詩望がいなくなって、真っ白になった世界。
何もできなくなったオレに、色をくれたのはこの店だ。
どこにいても、涙が零れ落ちた。
家族の前、友人の前では無理して笑ってみせた。
それが、この店だけは違った。
冷たい、灰色の町に比べると、この店はいつも暖かい色に包まれていた。表情を作らなくても、それを何も言わずに受け入れてくれていた。
だから、自然と足が向いていた。

最後に見た彼女は、笑顔を浮かべていた。
白い部屋で、綺麗な笑顔を浮かべて「また明日」と言って分かれたのが最後だった。
その夜、彼女の容態が悪化した。

「イツ君?」
急に黙り込んだ、オレに心配したのか歌理さんが名を呼ぶ。
「あ、いえ。ありがとうございます。また、明日も来てくださいよ。マスター、オレ看板閉まっときますね」
そう言い残して、俺は看板を持って一人先に店内に戻った。
外には、状況が読めずに立ち尽くしている大人が4人。


 
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