気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「でも、今どきこんな鍵どこ行けばあるんだ?」
彼の疑問はもっともで、それが解決しなければこの鍵はまったく意味のないものでしかない。
「さあ?どっか、物好きの家とか行けばありそうだけど?」
「物好きって?例えば?」
「ヨーロッパ好き?とか?・・・そんな事まで知るか」
自分で言っていて嫌になってくる。
古めかしい鍵を片手に、どうしたらいいかを二人で考える。
「何か、ヒントないのかね?」
「ヒント?」
「そう。この鍵がどこのもんかって。」
「ヒントね・・・・。」
鍵という言葉を中心に考えを巡らす。
鍵・カギ・かぎ・・・頭の中で何度も「かぎ」という言葉を繰り返す。
けれど、そんな事をしても、何かいい考えが浮かぶ事はない。
「父上は何も残してないの?」
「あ?」
鍵という言葉を繰り返していた僕は、彼の言葉を理解し損ねた。
しかし、彼の言葉はしっかりと聞こえている。
頭の中で再生し、理解する。
「っと、ああ。何か・・・?何か?」
そういえば、箱と一緒に封筒が入ってなかったか?
「何、かなた。何か思い出した?」
「あの引き出し。2番目の。」
「ん?引き出し?って、さっきの?」
不思議そうな言葉と仕草を見せ、永夜は引き出しに視線を送る。
どうやら、彼には先ほどの封筒は見えてなかったらしい。
「ほら、これ。」
引き出しを開け、封筒を取り出し彼に見せる。
「何?それ。」
封筒には何も書かれていない。
触った感触も、紙が2,3枚入っているかいないか。
しっかりと糊付けされていた封を切るために、僕は父の机からペーパーナイフを拝借する。
まず最初に出てきたのは、何かをコピーした地図だった。
かなり拡大されており、一通り見てもどこの地図かは判断できない。
「どこだ?これ。」
「貸して。知ってる地名とか、ないのか?」
「ああ、町単位の地名しか・・・。」
永夜が地図を逆さにしたり、向きを変えて眺めているが、どうやっても知らない地名は知らない地名だ。
地図は諦め、封筒の中に残った紙を取り出す。
紙はホッチキスで留められた2枚組みだ。まずは、1枚目の頭に書かれた文字を目で追う。
「は?」
そこに書かれた文字を見つめ僕は首をかしげる。


「何?今度は何がでてきたん?」
永夜が覗き込み文字を読み上げる。
「えっと、かいろう?邸、権利書?あれ、これ」
「貝楼・・・蜃気楼の別称だろ?」
首を傾げつつ永夜が読み上げたが、興味はないようで、彼は再び地図に熱中している。
しかし、何かを見つけたらしく、地図を指差す。
「なあ?これじゃない?」
「何?」
彼の指先を見ると、確かに同じ文字が書かれている。
貝楼邸と。
二人してしばしその字を見つめた。
「・・・・どゆこと?」
永夜が疑問の声を上げ、地図から視線を剥がす。
そして僕は、思い当たったことを口にする。
「このカギって・・・?」
中途半端に言ったとこで、永夜も同じ事に気づく。
「あ、そうかも。」
僕は急いで2枚目へと紙をめくる。
そこには、書かれていたのは「貝楼邸」の住所やその他細かい事。
明日はちょうど休みだ。
「明日・・・」
「行ってみるか?」
永夜に先に言われ、少し悔しさを感じる。
「市内だ、すぐにいけるし。見に行った方が早くない?」
黙っていると、僕が悩んでいると思ったらしく永夜がもっともな事を言う。
「何、お前一緒に来るつもり?」
「え!?ダメなの?」
仕返しの一言に面白いぐらいの反応を示す永夜。
「冗談だ。一人で行ってもつまらないだろ。」
「よし、決まり。明日は朝からでかけよう。」
なんか、ピクニックに行くようなノリだな。彼の言葉を聞きそんな事を思う。
「弁当でも作っていくか?」
「は?何で?お前どこ行くつもりなの?」
つい声に出てしまった言葉が思わぬ相手に否定され、言葉が上手く出てこない。
「・・・・・・・。お前にそこまで言われるのは心外だ。」
「え?何で?何が?」
「もういい。」
永夜から地図を奪い取り、改めて見直してみる。

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