「何?今度は何がでてきたん?」
永夜が覗き込み文字を読み上げる。
「えっと、かいろう?邸、権利書?あれ、これ」
「貝楼・・・蜃気楼の別称だろ?」
首を傾げつつ永夜が読み上げたが、興味はないようで、彼は再び地図に熱中している。
しかし、何かを見つけたらしく、地図を指差す。
「なあ?これじゃない?」
「何?」
彼の指先を見ると、確かに同じ文字が書かれている。
貝楼邸と。
二人してしばしその字を見つめた。
「・・・・どゆこと?」
永夜が疑問の声を上げ、地図から視線を剥がす。
そして僕は、思い当たったことを口にする。
「このカギって・・・?」
中途半端に言ったとこで、永夜も同じ事に気づく。
「あ、そうかも。」
僕は急いで2枚目へと紙をめくる。
そこには、書かれていたのは「貝楼邸」の住所やその他細かい事。
明日はちょうど休みだ。
「明日・・・」
「行ってみるか?」
永夜に先に言われ、少し悔しさを感じる。
「市内だ、すぐにいけるし。見に行った方が早くない?」
黙っていると、僕が悩んでいると思ったらしく永夜がもっともな事を言う。
「何、お前一緒に来るつもり?」
「え!?ダメなの?」
仕返しの一言に面白いぐらいの反応を示す永夜。
「冗談だ。一人で行ってもつまらないだろ。」
「よし、決まり。明日は朝からでかけよう。」
なんか、ピクニックに行くようなノリだな。彼の言葉を聞きそんな事を思う。
「弁当でも作っていくか?」
「は?何で?お前どこ行くつもりなの?」
つい声に出てしまった言葉が思わぬ相手に否定され、言葉が上手く出てこない。
「・・・・・・・。お前にそこまで言われるのは心外だ。」
「え?何で?何が?」
「もういい。」
永夜から地図を奪い取り、改めて見直してみる。
PR