気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
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遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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鍵の数は全部で四つ。
小さな鍵が二つに、大きな鍵が二つ。小さな鍵は、先ほどの引き出しの鍵と同じような鍵だ。
大きな鍵は、一つはごく普通の家についているような鍵だったが、もう片方は変な形をしていてかなり大きい。
「他にカギ掛けそうな場所は?」
永夜が鍵を手の中に収め、一度握りこむ。そして、視線の高さへ持っていったかと思うと宙へと放り投げる。
チャラっと音がして落下。それを、両手で挟み込むようにキャッチする。
「さあ?」
「さあ、ってお前。ないの?」
「僕の見た限りでは。」
「う~ん、ラッピングされた箱の中にカギ束って、お前のお父上は何を考えてんのさ。」
「それが、分かったら苦労しないんだけどな。」
「・・・それを、お前が言うのか。かなた。」
「だって、そうだろう?」
「確かに、だけどさ・・・。まあ、いい!探そうぜ、絶対どっかにあるって!無くても、ヒント位はあるだろう?」
椅子から立ち上がり、鍵を僕に寄越す。周りをきょろきょろと見回してから、座っている僕を見下ろす。
「で、どこ探せばいい?」
「永夜、お前ならどこに鍵かける?」
部屋の中は、もうほとんど見尽くしている。鍵の掛かったものなんて僕は見ていない。ならば、探す前に少し考えた方が、いい様な気がして彼にそんな事を尋ねてみる。
「え?オレ?んー・・・・・・あっ!鞄だ!」
「え?」
結構な沈黙を間に挟み、思い出したようにおおきな声を上げる。
「クローゼットの中にあった鞄で、一個開かないのがあったんだよ。壊れてんのかと思って気にしなかったけど、カギ掛かってたのかも!」
嬉々としてそんな事を言う永夜は、早速クローゼットへと向かう。僕は動かずに彼の行動を見守った。
「これなんだけど。どう?」
目の前に鞄を差し出されても、僕は見ただけではわからない。
「鍵はついてるみたいだな」
それだけ言って、永夜から鞄を受け取った。
鞄はまったく使われた形跡はない。鍵も、中のものを守るためとかではなく、オシャレのためについているもので、玩具のようなものだ。
鍵束の中から一番小さな鍵を選び、鞄の鍵穴に合わせてみる。
すると、鍵は素直に刺さる。そのまま、ほんの少し力を加えるだけで、鍵は外れた。


鞄の中に手をいれ、中を探ると何か箱の様なものに手が触れる。
「何か、入ってたか?」
一部始終を見守っていた永夜が声をかけて来る。
僕は手に取った物を鞄の中から取り出した。
「「・・・・・・。」」
互いに良く見える場所で手を広げ、箱を見せる。
箱はテレビなどで見るような宝箱の縮小版。
サイズは、八センチ×五センチ、高さは三センチと言ったところだ。
先ほどの経験から、中身が宝石類でないことは確かだろう。しかしなんで、こんな洒落た装丁なのだろうか。
試しに蓋を開けようとしてみるが、当然のようにそれは開かない。
「どう?」
「鍵掛かってるな。」
「やっぱり?」
「鍵の掛かった宝箱だな。」
「随分、小さな宝箱だな。」
永夜と一度目を合わせてから、鍵束の中から残ったもう一つの小さな鍵を選びだす。
「アタリかも。」
「あ、マジ?」
鍵を差込み、軽く捻る。
カチっと小さな音がして、それが正解を告げた。
「おっしゃ!」
横で永夜が小さなガッツポーズを作り、素直に喜ぶ。
ゆっくりと蓋を開け中を覗く。そこには、意外な物が入っていた。
「ここまでくると嫌がらせだな。」
永夜が心底嫌そうな声で感想もらす。
父には悪いが、僕も同感だ。あの人が何を考えてこんなものを用意したのかまったくわからない。
「で、このボロい鍵はどこの鍵?」
「知るわけないだろう」
「だよな。残ってるのまだあったよな?」
出てきたものは普通に見かける鍵よりも、形が古めかしい。
そもそも、鉄で出来ているわけではなさそうだ。鍵束についていたもう一つも同じような形だが、大きさが異なる。
「全部で三つだな。」
「しかも、何か懐かしい感じの鍵が二つも。」
おとぎ話か何かに出てきそうな形をした鍵は、確かウォード錠というものだ。
「懐かしいのか?」
「だって、ウチの鍵もこんなんだったな。世界に一つしかない鍵なんだ。合鍵作るのが難しいらしい。」
彼にしては、知的な言い回しを使っている。
ウォード錠は鍵の形に合わせて鍵穴を造る。だから、正しいカギでしか鍵は開かないどころか、差し込む事もできない。
「何、そんな古いのか?」
「鍵が?オレの家が?」
「お前の家。」
「ああ、一応名門貴族とやらだったからね。そりゃあ、りっぱな家だったさ。」
どこか皮肉が込められたその台詞は、あまり彼らしくない。

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