「ほら」
永夜がそれを取り、投げてよこす。
「ん、どうも」
鍵を受け取り、それを机の引き出しの鍵穴に差し込む。どうやら、鍵は合っていたらしい。
永夜は移動ついでにパソコン机に備え付けの椅子に座り様子を伺う。
引き出しを開けると中に入っていたのはB5サイズの茶封筒に小さな箱が一つ。
「なんだよ、これ?」
それを永夜に見せると、彼が興味を持ったのは小さな箱の方だった。
「プレゼント・・・じゃないのか?」
小さな箱は綺麗にラッピングされている。
「誰に?・・・誰から?」
「さあ?」
誰?と聞かれて僕は考える。そして、心のどこかで父から最後のプレゼントかもしれないと期待する自分がいることに驚く。
「かなた。開けてみろよ。」
「俺が?」
「そう。オレが開けてもしょうがないだろ?」
「うん。まあ。」
リボンを解き、包装紙を綺麗に剥がす。中から出てきたのは、予想通り小さな紙製の箱。
「あ・・・」
蓋を開けてみて僕は反応の仕方に迷った。
「何?何が入ってた?」
「鍵だ。」
「カギぃ?」
不思議そうな声を出す反面、あきらかにがっかりした様子の永夜に対し、僕は何かを期待し始める。
「しかも、束で。」
今度は、僕が立ち上がり彼の側まで行く。
「束?何で?どこの?」
「さあ?引き出しじゃないし。そもそも、大きさがバラバラ。」
チャラリ。と鍵がぶつかり合う音がする。パソコンの前に座る永夜の目の高さにそれを掲げてみせた。
「へぇ~。」
永夜はニヤリと笑い、視線を鍵から僕へと移す。自然と目が合う形になり、僕も同じように笑って見せた。
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