気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「やっぱ、普通の部屋だな・・・。」
しばらくの間、それぞれ別行動をとっていた。別行動と言っても、狭い一つの部屋なので、互いに何をしているのかは良く分かる。
「何を期待してたんだ?」
「ん~、期待って言うかさ。」
永夜が、何となく呟いた言葉に僕がわざわざ返事をすることで会話が生まれる。
「何なんだよ?」
「何か出てくるかと思ってた。」
「何か?」
「そ、何か。」
つまらなさそうに話す彼は、やはり何かを期待していたようだ。母の部屋を見た後にこの部屋を見ると、この普通さが異常に見えてきてしまう。
だからという訳でもないけれど、僕らは片っ端から部屋の中を漁っていた。プライバシーも何もあったもんじゃない。
相手は、死人だから文句は言えないだろうが、もしも見つかったら大変な事になるだろう。しかし、あくまでも目的は掃除なので、散らかす事はしない。
「永夜、鍵見なかった?」
「カギ?」
言うかどうか迷ったが、結局僕は口にする。彼の期待に答えることはできないが、何もないよりはマシだろう。
「そう、引き出しの鍵。」
「開かないのか?」
「二番目だけな。」
「何で二番目?」
「知るかよ。」
「だよな・・・。あ、鍵ってもしかしてあれじゃない?」
彼が指差す先にはコルクボードがある。そこには、色々なサイズのメモ用紙が貼り付けてあるだけで、鍵らしきものは見当たらない。
「あれって?」
「紙の下だよ。」
クローゼットの前に座り込んでいた永夜が立ち上がり、コルクボードの前に移動する。
メモ用紙を何枚かどけると、そこには確かに鍵が一つぶら下がっていた。



「ほら」
永夜がそれを取り、投げてよこす。
「ん、どうも」
鍵を受け取り、それを机の引き出しの鍵穴に差し込む。どうやら、鍵は合っていたらしい。
永夜は移動ついでにパソコン机に備え付けの椅子に座り様子を伺う。
引き出しを開けると中に入っていたのはB5サイズの茶封筒に小さな箱が一つ。
「なんだよ、これ?」
それを永夜に見せると、彼が興味を持ったのは小さな箱の方だった。
「プレゼント・・・じゃないのか?」
小さな箱は綺麗にラッピングされている。
「誰に?・・・誰から?」
「さあ?」
誰?と聞かれて僕は考える。そして、心のどこかで父から最後のプレゼントかもしれないと期待する自分がいることに驚く。
「かなた。開けてみろよ。」
「俺が?」
「そう。オレが開けてもしょうがないだろ?」
「うん。まあ。」
リボンを解き、包装紙を綺麗に剥がす。中から出てきたのは、予想通り小さな紙製の箱。
「あ・・・」
蓋を開けてみて僕は反応の仕方に迷った。
「何?何が入ってた?」
「鍵だ。」
「カギぃ?」
不思議そうな声を出す反面、あきらかにがっかりした様子の永夜に対し、僕は何かを期待し始める。
「しかも、束で。」
今度は、僕が立ち上がり彼の側まで行く。
「束?何で?どこの?」
「さあ?引き出しじゃないし。そもそも、大きさがバラバラ。」
チャラリ。と鍵がぶつかり合う音がする。パソコンの前に座る永夜の目の高さにそれを掲げてみせた。
「へぇ~。」
永夜はニヤリと笑い、視線を鍵から僕へと移す。自然と目が合う形になり、僕も同じように笑って見せた。

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