ガタン、ガタン・・・
相変わらずリズム良く進んでいく。
窓から差し込む陽が眩しくて、目が覚めた。
寝ぼけた頭で自分の現在の状況を確認すべく目を開く。目の前に有ったのは広げられた新聞だった。
新聞?
一瞬自分がいる場所が分からなくなり思考回路が停止する。
体を起こすと、その新聞に隠れて顔は見えないが新聞を支える手が見えた。
自分の現在の状況を思い出しながら、目の前に存在するものについて考える。
客か・・・。
どうやら、寝ている間にどこかの駅に停車したらしい。
しかし、ずいぶん失礼な客だ。断りも無しに人の目の前に座るなんて。
席は他にも空いているというのに…。
「おっ、やっと起きたのか?おっ前、良く寝るなぁ」
相手の顔が見えないのをいい事に、しばらく睨みつけてみたがまったく効果はない。
しかし、反応はあった。テンションの高い、聞き覚えのある声が飛んできたのだ。
新聞から顔を出したのは、夜中に出会った変な少年だった。
「ほれ!見てみん、一面!昨日こんなんあったらしいよ、久々じゃん!」
少年は、ニッと笑いながら新聞を差し出してくる。夕べは気づかなかったけれど、彼の目は綺麗な蒼色だった。髪の色はと言うと、美しいと表現しても言い過ぎないほどの黒髪だった。
「…何なんだよ、お前・・・」
変に開いてしまった間を隠すためにも文句を言いつつ、彼から新聞を受け取る。
折角、一人でのんびり出来て静かだったのにな・・・。
目の前の少年を睨みつけてから、新聞に視線を向ける。
新聞にはいくつか大きな見出しが書いてあった。ここ最近は、平和でくだらない事が書かれていたが、今日は少し違うらしい。大きく書かれた文字だけを順番に拾っていく。それを見た瞬間、思考が固まった。
まさか、もう記事になっているとは・・・。
「な?な?すごくない?」
と彼は僕に感想を求める。
一面のトップの見出しはこんな風だった。
『空白の時間狙われた!?主都銀壱千万盗まれる!!』
確かにすごい。
こんな、ひねりのない見出しをつけるなんて・・・。
主都銀とは、主都中央銀行の事だ。この国のお金に関わる全ての事がここで行われている。
よって、大金があるのもこの銀行だけだ。ほかの、町の銀行では話しにならない。
話しってのは、もちろん銀行強盗する連中からの意見であって、普通の利用者からすれば、小さな銀行でも事足りる。
ちなみに、『空白の時間』とは早朝に全ての業務が交代される時間の事だ。
この時間は、全てのセキュリティーもストップしているし、銀行内も空っぽになってしまう。
前々から危ないと指摘されてはいたが、システムの関係上どうしてもそうなってしまうらしい。
「まぁ、いつかやられるだろうなと思ってたよ」
新聞の見出しと同じように、何のひねりもない感想を言って新聞を返そうとしたが、それを突き返される。
「はあ?何の話してんの?オレが言ってんのはコッチ」
と言いながら、彼は新聞を僕に見せながら問題の記事を指差す。
そこには、こんな見出しが書かれていた。
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