ガタン、ガタン・・・
目を覚ますと、列車内は先程よりも照明が落とされていた。
窓の外は真っ暗で、窓ガラスに映るのは、少し寝惚けた感じの自分の顔だった。
ガラスに顔を近付け、外を見る。
列車は、さっきまでとまったく違う景色の中にいた。
何も見えない中で、ただ広い場所を走っているという事だけが理解できた。
眠りに着く前は、山々と小さな町の中を走っていた。けれど、出発前にみた地図を考えると、現在走っているのは何もない荒野らしい。
灯りのない世界は恐怖を感じる。
何も見えない窓に、視線を固定したまま考えた。あれから、どれくらいの時間がたったのだろうか?
少しだけの睡眠のはずが、熟睡してしまったらしく、時間の感覚がまるで無くなっていた。
一度気になると、どうしても知りたくなってしまう。しばらく悩んだ末に時間を知るために列車内を歩く事にした。
上手くいけば、どこかで時間が分かると思ったのだ。
ついでに、最後尾のデッキに出て風にあたろう。
列車は全部で九両ある。
先頭から最高尾まで行くのは、ちょっとした気晴らしには丁度いいのだ。
盗まれては困る物だけを身に付け、ボックス席を離れる。
ガタン、ガタン・・・
と、相変わらず列車はリズムを崩さすに走り続ける。
しばらくは、このままずっと真っ直ぐな道のりなのだろう。
先程よりは少しスピードが早いようだ。
あまり、足音をたてないようにゆっくりと歩く。
ガタン、ガタン・・・
揺れる車内は正直歩きづらかった。
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