話しが決定してからの方が大変だった。
急遽列車をーエル女史が運転手を半ば脅迫してー止めて僕らはそこで降ろされた。
そして、そこへエル女史の迎えの車がやって来る
それに乗り、真っ直ぐエル女史の屋敷へ。彼女の屋敷は、町から大分離れたところに存在した。
「煩いのは苦手でな。ここなら、人間が一人や二人急に増えても誰も気づかないだろう」
屋敷に着くと、まずは客間へ通され今後の予定を聞かされる。
「周りの人間に、ごちゃごちゃと言われる前に、役所へ届けようと思うのだが、名前はどうする?」
「レインがいいんじゃないか?」
「兄さん」
念のためと付いてきた、兄さんが提案する。
「オレは、何の問題もなくレイブンで。だからレインはレインだろ?今更、アイリスなんてオレは呼ばないぞ」
「…じゃあ、レインでお願いします」
「分かった。では早速明日、役所へ行ってくるよ」
「けど、エル女史。急に子ども二人、なんてどう説明するですか?」
「少しは考えたらどうなんだ?レイブン。孤児院から引き取ったとかなんとか、適当に言えば済むだろう?」
本気で、不思議そうに尋ねたレイブンに、僕は当然のように話したが、彼の中ではそれも凄いと思うらしい。
「なるほど、その手があったか!」
と彼、以外からも声が上がった。エル女史だ。
「何だ、エル。考えてなかったのか」
「聞かれても、押し通す気でいた」
そんな訳で、僕はアイリスとう名より、馴染みのあるレインという名で届けてもらった。
これで、いっさい王家との関わりが無くなった訳だ。
髪をもっときちんと切れば、誰も僕が王子だとは気付かないだろうと、エル女史は言う。
さあ、これからはのんびりな暮らしとはいかないぞ、二人とも。たっぷりとしごいてやるからな、とエル女史は微笑みながらそんなことを宣言した。
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