気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「いいよ。もう終わったから、一緒に行こう」
頷いてくれるかと思ったが、彼は首を振り、そんな風に言ってのける。しかし、彼の仕事がまだ終わってないのは明らかだ。話の中心であろう彼が抜けた事で下ではちょっとした騒ぎになっている。
「何を言ってるんだ。明らかにお前を呼んでるだろ?王子様?」
足元を指差しながら、皮肉たっぷりに彼を呼ぶ。自然と自分の口元には笑みが浮かぶ。なぜなら、王子様と呼び掛けた瞬間の彼の表情の変わり様が、面白かった。
「いやだな。キミにそんな風に呼ばれると寒気がするよ」
「失礼なやつだな」
「もういいんだよ。必要な事は話したから、後は彼らが好きなように決めてくれれば」
どうでもいいと言わんばかりに、歩きだす。彼がそう思うのなら仕方ない。きっと何を言っても聞かないだろう。彼に並ぶ事はせずに同じように歩き出した。
「おい!ちょっと待て、お前ら」
しかしすぐに再び呼び止められた。だが、それはどう考えてもここの店員のものではない。
立ち止まり、ちらりと振り返り相手の姿を確かめる。

さっきのヤツの仲間か?

そう思ってよく見てみれば、彼の肩には先ほどのヤツと同じエンブレムが付いている。
どこかの家に雇われている証拠だ。
「あれは、どこのだ?」
わざわざ隣にやってきて、楽しそうに状況を見ている少年に問いけた。
「ん~、大丈夫。大した事ないから」
「そうか」
至極簡単な答え。
「お前、良くも俺の相棒を・・・!!
怒りのあまり言葉にならないのか、中途半端に途切れ、ワナワナと震えだし、怒りに満ちた瞳が隣にいる少年へと向けられた。
どうやら、彼の方が弱いと判断したようだ。彼はその視線を受けても、微笑んだままで動かない。
それを、動けないと判断したのか、男は大きな鎌を振りかざし、走り出す。
「・・・ッチ」
思わず舌を鳴らした。
色々な考えが頭の中をめぐったが、結局何も手にすることなく男の前に飛び出し、そのまま低く体制をとる。そんな行動を見た男に一瞬だが迷いが現れる。何も持たずに飛び出したのに驚いたのだろう。
そこを見逃さない。


相手の懐に入り込み顎めがけて手の平を突き出す。
体格に差があるから可能なこと、しかしその体格の差のせいでこの攻撃はあまり意味を成さない。
けれど、目的は相手の意識をこちらに向けることとついでに、隙が作れれば何の問題もない。
ダメージなど最初から期待してはいないのだ。
それでも、多少の効果はあったらしい。フラフラと男の足元がおぼつかない様子だ。

「入ったみたいだね。ところでキミは剣士じゃなかったっけ?いつから武術士になったのさ」
場違いに楽しそうな声。
「うるさい。決まったことしか出来ないんじゃこの仕事はやっていけないんだよ」
そう、状況に置いては素手だけで相手を倒さなければいけない時もあるし、剣以外の武器、例えば、弓や槍その辺にあった棒切れで戦わなければいけない時もある。
自分について自慢できる点をあえて上げるなら、こういった状況へ対応のしかたと己の身を守る程度の魔法を使えるということだ。
「ふ~ん。じゃあ、どうやって止めを?」
「物騒な事を言うな。ちょっと眠ってもらうだけだ」
先ほどの事など棚に上げて彼に言葉を返す。
未だに頭を抑え、フラフラしている男へと近づきながら己の腰に数個ぶら下がった小さな薬瓶に手をかける。この中から、必要なものを選び出し、一気に間を詰める。自称、何でも屋。伊達にこれだけで生活できているわけじゃない。
男の目の前で跳躍、軽く飛び越え・・・てはいけない。
男の肩に手をかけ己の体にストッパーをかける。
肩を掴んだ手でバランスを取りつつ体勢をかえ、薬品を男の口元へ。
面倒なのでそのまま瓶ごと突っ込んだ。少しだけ勢いをつけて男の肩から手を離す。
そして着地。
「強引だな~」
変わらず楽しそうな少年の声が響く。
瓶の中身は強力な睡眠剤。本当は匂いを嗅がせるだけでも効果があるものだ。使い方としては、食事に混ぜたり、香炉を使って焚いたりするのが普通。
「それはオリジナル?」
「これは市販品だ、ここに来る前に買った」
床を震わすような大きな音が響き、男が倒れた事を知らせる。視線をそちらに向けて確認すると、瓶の中は空だった。
全部飲んでしまったらしい。
「予想は?」
「3日・・・といったとこだろう。調合したわけじゃないから確実ではないけど」
「だって、説明つきで病院に運んどいてもらっていい?」
彼は明るく手近にいたウェイターに話し掛けるが、まるで理解していないようだ。
「シュタ、説明が足りてない」
「今、彼は薬飲んで夢の世界に旅立ったところなんだ。それで、プロが言うには、その効果は3日ほどで切れる。つまり、3日は起きないってこと。こんなとこに転がしておいても邪魔でしょ?だから、病院のベット一台貸してもらって。3日間ぐらい寝っぱなしなんですっていう説明付きで。難しそうだったら僕の名を出しても構わない」
「かしこまりました」
軽く会釈つきで、ウェイターが了解した。倒れている男を見て、自分ひとりで運べないと判断したのか、彼は一度奥へと引っ込んだ。


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