気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「お疲れ様」
「どうも」

彼に連れられ、馬車に乗り込んだ。

そこで、微笑みながらそんな一言。嫌味にしか聞こえない。
「それで、何のようだ」
「ん~、ちょっと頼みがあって。今回ばかりは僕だけの力じゃ叶わない」
「珍しいな、お前が弱気なのは」
「自分の限界は知ってるつもりだけど?」
城へ向かう馬車の中、早速本題を出してみたが、話し出す気配はない。
「シュタルク王子、どうされますか?」
「あ~、そうだね。念のため裏からお願い」
突然前方から声がし、彼がそれに答える。
「かしこまりました」
御者が了解の意を示し、馬車が少しばかり速度を落として、進行方向を変える。
窓から外を見れば、既に馬車は目的地間近だった。小さな窓では全景をとれない城がある。
この国の最高権力者が住まう城だ。
すなわち、目の前の彼は正真正銘、本物の王子だというわけだ。
「何故、裏からなんだ」
「キミと一緒だから」
「つまり、正式な客としては認められてないんだな」
「いや、一応父上に話してある。今度、護衛をつけるって」
「じゃあどうして?」
「敵が多いでしょ?お互いに」
彼の言葉を聞き、思わず眉間にシワが寄る。
「もしかして、内輪もめじゃないだろうな?」
「それもある。けど、それだけじゃない」
彼は現国王の第6子にあたる。数字だけみれば、世継ぎ問題に関係なく見えるが、そうでもない。
上3人の兄は全員、国王と妾腹の間に生まれている子どもなのだ。
しかし、彼らに王位継承権がないわけじゃない。国王の子どもならばダレにでも継承権が存在するが、やはり一番有利なのは、国王と王妃の間に生まれた子だ。間二人は姉なので関係がない。
そんな中で「彼さえいなければ、自分が国王の座につける」という考えは、当然に浮かぶものだろう。
裏庭で馬車を降り、そのまま、使用人が使う道を通り彼の部屋へ向かった。
「シュタ、何に首を突っ込んだんだ?」
扉を背に彼に問いかける。
「そう焦らないでよ。まずは、その血生臭さをなんとかするのが先」
彼の部屋に着くなり、指差されたのは部屋備え付きのバスルームだった。
人が真剣に話を持ちかけても冗談で誤魔化されてしまう。それは、数年前クラスメートだったころから変わらない。


この国では、6歳をすぎると学校へ通う習慣がある。主に貴族の子どもが通うものだが、能力さえあれば誰もが通う事が可能だ。
彼とはそこで出会った。シュタルク・H・アタナシアそれが彼のフルネーム。

「部屋を汚されるのが一番嫌いなんだ。何も触らずにさっさとそれを流してこい」
やや命令口調で言われると冗談には聞こえない。
「着替えは仕方が無いから、貸してあげる」
「恩に着る」
「構わないよ。これから命がけで仕事してもらうから」
短く礼を言うと、冗談のような本気の一言が返ってきた。
彼の部屋に来たのは初めてではない。もちろんシャワーを借りるのも初めてではない。
授業で彼とは何かとパートナーを組む事が多かったのでその縁もあって、何度か来ていた。
そのとき彼の兄弟たちにも会っているし、国王にも何度か会っていた。
大して前ではない昔の事を思い出しながら、他人の血を洗い流し置かれていた服を手に取る。
その触りなれた手触りに嫌な予感を感じ取るが、着るものがそれしかないので仕方なく身につけ、その場を後にした。
「シュタ、これはどうゆうことだ?」
「やあ、早かったね。うん、やっぱりキミはそれが似合うよ」
置いてあったのは、軍服にも似た、何年もお世話になった学校の制服だった。
シュタを見れば、彼も同じものを見につけている。
「今すぐ説明を求める。内容次第では、冗談じゃ済まされないぞ?」
「嫌だな、本気で怒らないでよ。冗談でそんなもの用意できるほど、僕も暇じゃないし、おかしな趣味もない」
「仕事なのか?」
「そう仕事の1つ。同時にいろんな問題が起こってさ、さすがに1人で対応できないなと思って、君を呼んだわけ」
「ちょっと待て、ひとつということは」
「まあ、その辺は後々。まずは久々の母校訪問と行きましょう」
納得がいかない。そんな思いを抱えながらも彼について歩き出す。
どうやら休む間もなくでなければならないほど、急ぎの用事であるらしい。
「気づいた事が1つあるんだが」
「ん?何」
「どうして、俺達が制服を着る必要が?」
確かに学生は校内にいる間は制服を着用しなければならない。しかし、自分達は卒業生だ。
私服で行っても何の問題もない。
「例外だという事を忘れたの?」


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