気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「どうなってんのこれ?」
ずーっと下に見える町を見ながらヨアケに聞く。
「たまには夢の世界に浸ってみるのもいいだろう?」
帽子を被りなおしながら彼は答えた。
答えにはなってない。

「さあ、行こうか。のんびりしていると
虹が消えてしまう」

遠くにあるかと思っていたけど、そうでもないみたいで
虹は意外に近い場所にあった。

「知ってるかい?虹は向こう側からは見えないんだ」
聞かれた内容が理解できずヨアケの顔を見上げる。
「虹はね。条件を満たした場所からしか見えないんだよ」

すると、これからいったいどこにいくと言うんだ。
「虹の向こう側」に行くためにここまで来きたはずなのに。
彼は今ここでそれを否定している。

「じゃあ、どうするの?」
ヨアケがどうしたいのか分からない。
見えないのに行くというのだろうか?

「とりあえず、進もうか」
ボクを促し、ヨアケは先へ、虹へ向かって進む。
「ちょっと、待ってよ」
彼を追いかけて、見よう見まねでボクも体を前に進める。

ヨアケにはすぐに追いついたけど
すぐ側に見えるはずの虹にはなかなか近づかない。

すぐに彼の言葉を思い出して、気がついた。
―虹に向こう側は存在しない―
見えないって事はそうゆう事だ。





「ねぇ、ヨアケ。どこに行くの?」
前を行くヨアケを呼び止める。
もう敬称をつける気はない。

くるりと振り返ったヨアケがニコリと笑った。
すっと小さく息を吸ったのが見て取れた。
何か覚悟を決めるような仕草。
「頼まれたんだ」
「頼まれた?」

ボクの言葉にヨアケは大きく頷いた。

ダレに?
という言葉は出てこない。

ヨアケは笑ったまま表情を崩さない。

ボクは無表情のまま彼を見つめ返す。

笑った人間と無表情の人間の睨めっこ。

どちらも表情が変わる事はない。

どれくらいだろう?
とても長い時間だったようにも感じたし
とても短い時間にも感じた。

「キミと話をしてこいって」

ヨアケが笑顔を引っ込め表情を失くす。
おかしな時間を止めたのはヨアケだった。

会話の流れがつかめない。
つかめないけど返せないのは悔しくて。
ボクは言葉を探した。

「どうして?」
ボクは声をぐっと低くして聞いた。

「聞かないのかい?ダレにって」
またヨアケが笑う。




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