「報告~。日付がかわる十分前・・・って何してんの?難しい顔して。」
「なあ、時計って普通一年、もしくは2年もすれば止まるよな?」
「そりゃあ、電池にも寿命があるからね、どして?」
ん、と視線だけで時計を示す。
「あれま、動いてるよ。あれ。」
首をかしげながらも時計と睨めっこを始める永夜。
「動いてるよな。」
この部屋に鍵をかけてから単純計算をしても、五年以上は軽く経っている。
「随分長持ちする電池だな。」
「それは、絶対ないだろ。お前がなんかやったんじゃないのかよ?」
「え?何で、オレ?」
絶対にないと首を降る永夜を信じることにし、話を進める。
「じゃあ、なんで動いてんだよ?」
「あ~っと、根性?」
「それ、本気で言ってる?」
「半分は。」
冗談交じりに問いかけたが、彼は本気で答えを返す。
根性で電池が動くなら、世の中もっと楽に進んでいかないか?
「聞いた俺がバカだったよ。」
「何、それ?オレ変なこと言った?」
「いや、もういい。」
「何?どうすんの?」
僕の行動を見ていた、永夜が問いかけてくる。
「時計、外してみようと思って」
「ああ、なるほど。」
机に備え付けの椅子を持ち出し、時計の真下へ持って行く。
「ちょっと、押さえてろ」
キャスター付で回転する椅子の上に乗るのには結構神経が必要だ。
「オレが乗ったほうが早いんじゃない?」
「どういう意味だ?」
乗ろうとして、片足をかけたところで永夜に止められる。
「かなた、お前の方が落ちる可能性が高いって事。」
「悪かったな、運動神経最悪で。」
足を下ろし、彼に場所を譲る。
「そこまでは言ってないし、そもそもこれは運動神経よりもバランス力の問題でしょ?」
「永夜、お前俺に喧嘩売ってる?」
「なんで、そんな風に捕らえるかなぁ。」
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