気の向くままに徒然と・・・
| Admin | Write | Comment |
カウンター
New!
~足跡~
[01/12 館主 遼]
[01/12 nameress]
[05/20 館主 遼]
[05/20 蒼月薫]
[04/11 館主 遼]
プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
Letter
バーコード
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「母さんと、父さんと祖父の三人分。」
「だって、お前、墓は?」
「墓はあるけど、空だ。」
「いや、でもコレだけじゃないだろ?」
「残りは全部、海に流した。」
「何で?」
「なんとなく…。」
「うっわ、なんとなくで海に流すなよ。」
そんなに、変なことだろうか?けれど、やってしまったことは、もうどうしようもあるまい。
「つーか、お前ってキリスト教だったの?」
「何で?」
「だって、十字架あるし。」
「別に、そんなことはない。」
そもそも、遺灰が存在している時点でキリスト教だと言う事を否定している。
「じゃあ、仏壇だの、お位牌だの…そういったものは?」
「だから、手元には、そこにあるものしか残ってない。そう言うお前は、仏教徒かよ?ちなみに俺は無宗教だからな。」
「お前ってやつは、ホント理解できないな…。オレも同じく無宗教だぞ。人を勝手に宗教者にするな。」
「それは、こっちの台詞だ。」
「はぁあ。で、あの大きいビンは?」
ため息をつきながら、次の質問をしてくる。
「ああ。アレは、始めはあのビンに三人分まとめて入れようと思ったんだ。」
「うそ…。」
「いや、ほんと。」
「信じらんねぇ。」
「今では、俺もそう思う。」
正直な話し、あの頃はどうかしてたんだ。死んだ人間とはいえ三人まとめてしまおうなんて、バチあたりな行為にも程がある。
「それで、そのありえない行動を止めた理由は?」
「変な連中に止められたから。」
「…。変な連中?」
「ちんどん屋。」
「はあ?」
「それより、俺からも質問。」
「何で、ちんどん屋?」
「それ、何?」
永夜の質問を無視し僕は、僕の気になった事を尋ねた。いくら訊かれても、これ以上喋るつもりはない。
「無視かよ。ったく、何?これ?」
あきらめたらしく、帰ってきてから、ずっと胸に抱いていたものを指差す。
「ロッカーから取ってきたんだろ?」
「そう、だから、言ったじゃん。オレの商売道具。パソ吉二号。プラス数少ない衣類たち。」
・・・・・。
まるで言っている意味が分からない。

「何だ?パソ吉って。というより、一号はどうした?」
聞くべき事がどこかズレているかとも思ったが、それが素直に疑問に思った事だった。
「一号は古いから処分した。ほら、結構な値段どおり性能良くて、使いやすくて気に入ってんだよね。」
抱えられていた紙袋から取り出されたのは、ノートパソコンだった。
「いやー。時代ってのはすごいよな。うん。あの頃から考えたら、まさかこんなもんが出来るなんて、想像もつかなかったよ。」
永夜の言う「あの頃」というのがどの頃かが分からないので、その感動の気持ちは測り知れないが、まあ、理解できなくも無い。
僕も、それなりに古い人間だ。
今では平成生まれの連中が、普通に中学生をやっている時代だ。昭和生まれがものすごく古く感じる。けれど、もう自分としては、いつ生まれたかなんて関係無くなるのだから、どうでもいい話しだ。
「商売って、何やってんだよ?」
先ほどから、商売道具だと言っているのが、気になっていた。パソコンで何を商売しているっていうんだ。
「ん~。占い師…みたいな感じで。」
「はあ?」
さっきから、お互いにこんな会話ばかりだ。
答えが意外すぎる。
「インターネットでホームページ開いて、オレの面白能力使って、恋の相談やら何やら、特殊な薬売ったり、色んな悩みの解決方法教えてやったり、あとは、ギャンブルを少々。ちなみに、それで稼いだ金がオレの生活費になります。」
「・・・・・・。」
「何?もしかして引いてる?しょうがないだろ、他に思いつかなかったんだから。」
いや、だとしてもマズくないか?インチキだろ、どうせ。ギャンブルだって怪しいもんだ。
「あっ、お前、今インチキだと思っただろう?ところが、これが正真正銘本物で、百パーセント当たるんだな~。占いにしても、ギャンブルにしても。」
考えていたことを当てられると、少し怖い。しかし、百パーセント当たる占いなんて、逆につまらなくないか?
「まあ、ともかく。オレはオレのやり方で上手いこと百年以上生きてきたわけよ。」
無理やりまとめられた気がするが、彼の言葉は妙に説得力がある。
お互いの話題が中途半端なまま終わりを迎えると、自然と会話がなくなる。急に静かになってしまった部屋はなんだか、とても居心地の悪い部屋になった。

PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[160] [161] [165] [166] [169] [170] [176] [177] [179] [182] [183]
忍者ブログ [PR]
material by:=ポカポカ色=