気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
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遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「つまり、夢なのか、現実にあったことなのか判断がつかないって事だろう?」
「ああ。」
食べながら話し始めたのだが、食事はとっくの昔に終わっていた。
目の前のテーブルには、汚れが乾き始めた食器が二人分並んでいる。
僕は、この夢の話をするにあたって、自分でも理解していないことを、人に説明するのはとても大変なことなんだと改めて痛感した。
「夢に決まってるだろう?二十歳のお前がいたら、今現在、この場にいるお前はなんなんだよ?」
「さあ?なんなんだろうな?意外にこっちが夢なのかも知れない。」
「あーあ。」
「なんだよ?」
どこかあきれたような声をだす永夜を見ていると自然と腹が立ってくる。
それになぜか、当事者の僕よりも、全てを理解したような顔をしているし。
そんな彼を見ていると、何か知っているのではないかという気がしてくる。けれど、普通に考えてそんな事ありえない。
彼が僕の夢の話を僕よりも理解しているなんて・・・そんな事ある方が恐ろしい。
「お前のマイナス思考は相変わらずだな・・・。つーか、それ、死んでも治んないだろうなぁ?それから、今、現在、ココが!夢の世界だと言うなら、オレの存在はどうなる?」
「大きなお世話だ。」
一々突っかかってくるような話し方をする永夜に本当に腹が立ってくる。しかし、彼は言葉とは逆に、何故かとても愉快そうにしていた。
「・・・?」
一瞬何かが見えた気がした。
前にも一度、このようなやり取りをしたような気がする。
あれは、いつの事だったか?
しかし、今はそんな思い出に耽っている場合ではない。とりあず、自分以外の他人がこの話を聞いてどう思ったかが気になるので、改めて永夜に尋ねてみる。
「で、お前はこの話聞いてどう思ったんだ?」
「オレ?ん~・・・。夢だけど、夢じゃない。・・・って感じ?」
「・・・。って感じ?じゃねぇよ。はあ~あ。話になんねぇ。」
一瞬、何を言っているのか理解できなかった。夢だけど夢じゃないなんて、夢じゃなければ何だって言うんだ。だいたい、ついさっき、「夢に決まってるだろう」と思いっきり断言したのはドコのダレだよ。
「だいたい、お前が話し聞きたいって言ったんだぞ?」
「ん~。分かってっけどさ、なんか・・・・ね。」
「なんか、何なんだよ?」
「期待以下。」
「・・・。」
なんなんだ?こいつは?何を期待してたっていうんだ?
というより、何か知っているのか?
当事者の僕でさえ分からない事を、何の関係もない永夜が知っている。なんて、そんな事ある訳無いじゃないか。
もしかして、彼も何か関わっているとか・・・そんなことあるはずない。
これは僕の夢の話だ。


「本当に、心当りないのか?かなた?」
「何の心当りだよ?夢を見るのに理由がいるのかよ?」
「だから、夢だけど、夢じゃないんだって。」
「だから、その意味が分からないって言ってるんだ。」
「う~ん。分かりやすく言うと、後半部分は夢で前半は実際にあったこと。」
「・・・・・・。」
彼の言う後半というのは、僕の家族が死んでしまった時の夢を見たことだろう。
コレぐらいは僕だって分かる。
あれは過去の出来事で、それを夢に見たということだろう。
しかし、分からないのは彼の言う前半部分。それが現実だという事だ。
前半部分というと・・・。
「覚えてない?」
「・・・?何を?」
僕が思考を巡らしていると彼が尋ねてくる。
彼の言うことは、時々理解しかねるときがある。
まず、第一に主語がない、第二に簡潔すぎる。さっきからそんなんばっかりだ。
「オレとの会話。」
「何時の?」
「9年前?かなぁ。」
「なな・・・年・・・?」
思考停止。
しかしそんなのは、一瞬で直る。
ここでようやく彼の意図に気がついたのだから。
「ちょっと待て!永夜!ふざけるのもいい加減しろ!七年前だって?ありえないだろ?もう、この話しはお終いだ!こんな、バカげた夢の話しを真剣に悩んだ僕が馬鹿だったんだ。飯、食い終わったのならさっさと帰れ!」
僕は一気にまくし立てた。
そうさ、彼は僕で遊んでいただけだ。ただの夢だっていうのに、バカみたいに混乱して・・・。七年も前に永夜と会話なんかするはずもない。
彼とは高校で出会ったのだから。
「はあ・・・ぁ。そこまで言われるとオレもショックだわ・・・。」
「・・・。」
まだ言うか、という意味を込めて視線を送るが伝わらない。
「本当に覚えてないのか?」
最初の質問をもう一度、彼は繰り返す。
だが、何度聞かれようが答えは同じ。そもそも具体的に何が聞きたいのかが分からない。
「だから・・」
「オレとお前の会話。今みたいに周りに誰もいなかったな。んで、やっぱり一人で怒ってるお前がいた。違うのは場所と天気ぐらいかな。」
尋ね返そうとしたが、僕の言葉は彼の言葉に打ち切られる。
淡々と語る永夜に怒りを忘れ、思わず聞き入っていた。
そして、天気と言われたことで視線はカーテンの閉まっていない窓の外へと向く。
雲ひとつ無い快晴だった。
夜なのに快晴はおかしいか・・・。

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