「かなた~、暇だぁ~。」
机の上に突っ伏し、永夜が呻きながらそんな事を言う。
「お前さ、今何の時間か知ってるか?」
そんな彼を睨みながら、僕は彼に尋ねた。
「ん~?授業中?」
「授業中?じゃねぇよ。分かってんなら・・・」
「いや、かなた。授業中だろうが何だろうが暇な時は暇なんだよ。」
・・・・。
僕の言葉をさえぎり永夜は理屈が通っていそうで通っていない事を言い始める。
今は5時間目の数学の時間。
のはずなのだが、先生に何かがあったらしく自習の時間となっていた。
課題は出てはいるのだが、手を着けている人は誰一人としていないようだ。
黒板には大きな字で「教科書P20~25の問い・後日テストあり」と書いてある。
提出する必要がないらしいので、皆休み時間のような過ごし方をしている。
「永夜!置いてくぞ!」
「待てって、頼むから置いてかないで。オレ、お前いなきゃ帰れないだろ~。迷子になる」
「勝手になってろ。ちょっと、道反れたからって、学校帰りに迷子になるなよ。」
自転車をこぎながら、大き目の声で会話をする。
「なあ!次コンビニあったら寄っても良い?」
「?いいけど。」
「サンキュー。」
普段は絶対に通らない道に入り数十分。
永夜の提案でたまにはコースを変えて帰ろうという事になり現在にいたる。
どうやら、彼は方向感覚がまったく無いらしい。
最初は永夜が先頭を走っていてのだが、家に近づくどころか逆にどんどん遠のいていくのだ。
あまり変なところに行かれても困るので、数分前に前後を入れ替えた。
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