何て一方的な電話なのだろう?喋るだけ喋って切りやがって・・・。おかげで半分も聞き取れなかった・・・。
どこからの電話?
病院?事故?
意味がわからない。
何がどうしたって?なくなる?
・・・・・・・。
何故だか急に息が苦しくなる。
胸が痛い。
体温が急激に下がっているのがよく分かった。
締め付けられる様な胸の痛さに呼吸ができない。
死んだって…事か…?
誰が死んだって?
誰が?
だいたい、相手が子どもだって分かってないのか?
言い方ってもんがあるだろう・・・?
誰と誰と、誰が死んだって?
巻き込まれて・・・?交通事故?
何の話だ?何かの冗談だろう?
電話の内容を理解するとともに事実も理解しなければならなかった。
とりあえず分かった事は、もう二度と母さんにも父さんにも、そして祖父にも会えないということだ。
「うっ・・・うぅ・・・父さん、母さん。なんでだよ。食事に連れてってくれるんじゃなかったのかよ?まだ僕は、オメデトウも言ってもらってないじゃないか・・・誕生日なのに・・・。なんで・・」
何故こんな事になったんだ?
どうして?
立っているのが限界でその場に座り込む。涙がこみ上げてくるが、なんとかして押さえ込もうとする。
手は自然と胸の辺りでシャツを握り締めている。
だんだんと手に入る力が強くなる。
もう感覚すらないのかもしれない。
何で、こんなに苦しいのかわからない。
胸がイタイ。
これは何の痛み…?
涙が出てくる理由すらわからない。
泣いてはいけない・・・泣いてはいけない・・・。
最後に母さんは何て言っていた?笑顔で・・・?
最後に父さんは・・・?僕は何て言葉を交わした?
祖父と話をしたのは?
今日、僕はなんて言われていた?
早く・・・帰って来い・・・?
約束?何を・・・?
誕生日・・・お祝い・・・?
どうして・・・?何が・・・あった?
死んだ?どうして・・・。
泣いてはいけない。
理解できない。
なぜ?
だって・・・あの日誓ったから・・・。
泣イテハイケナイ・・・。
だって・・・これから、ずっと一人なのだから・・・。
僕には、泣く権利なんてないから・・・。
「だ・・・だから、誕生日は・・・嫌いなんだ・・・」
病院へ行かなくちゃ…。
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