ぐっと見えない何かに剣が押され、己の体に今までとは比べ物にならない圧迫感が加わる。
そのまま、消えるのを待とうと思ったがそんなレベルではなさそうだ。
弾いた方が早いか。
彼の攻撃は本気ではないが、お遊びでもない。自分が耐え切れなくなる前に、考えを変えたほういい。
圧迫感はあっても直接受けたわけではないので、痛みはない。用は競り勝てばいいだけの話だ。
「無駄だよ。アキ」
剣を引くと、その剣に引き寄せられるように、「力」が一緒に移動する。
「やってみなきゃ分かんない・・・だっ、ろうが!」
全身の力を使って、剣を振りぬいた。無理な力が入ったためか「力」と共に剣までも手から抜け飛ぶ。
「強引だなぁ・・・。結局、僕が消さなきゃいけないじゃん」
苦笑と共にシュタが片手を突き出す。
ニヤリと思わず頬が緩む。彼が、意識の全てを手に向けていることをいい事に、懐に入った短刀を素早く抜いてその場を動く。
例えようのない「力」が部屋から消滅したのを感じ取り、彼が己の中に吸収したのが分かる。
「終わりだ、シュタ」
体を密着させ、今度は余計な事が出来ないように動きを封じて、相手の首にナイフをあてがった。
「まだだよ」