少女達が教室に戻ってくると、まだ授業が始まっていないらしくクラスメイト達が思い思いの場所でお喋りに興じている。
「ねぇ~、由月、次ってなんだっけ?」
「え~っと・・・・」
「次は、数学です。相変わらずだね二人とも、屋上寒くない?」
2人して、思い出そうと頭を抱えていると背後から声を掛けれる。
「あれ、玲、いつ来たの?さっきはいなかったよね?」
「残念。実はいました、4時間目の途中にね」
「今日はもう来ないかと思ってた」
「ひどい、ゆんちゃん」
3人目の少女はどうやら、遅刻と欠席の常習犯らしく会話の内容はけして良いものではない。
「あっ、ねぇねぇ、玲、今日の帰り暇?」
「ん?何で?」
「買い物付き合ってほしいの!」
「何か、ほしい物あるの?」
「ん~、ちょっとねぇ」
そんな風に、瑞希が答えを濁すと玲はしばらく考え込む仕草をみせる。
「んじゃあさ、瑞希!私にもつきあって!」
そして、名案だと言わんばかりに瑞希に提案をする。
「どこか、行きたいトコあるの?」
不思議そうに尋ねる瑞希に玲は楽しそうに答えを返す。
「うん!なんかね、噂聞いたんだ」
「噂?」
「そう。これが、結構よさそうな感じなの!」
「何?どんな話し?」
「なんかね、おもしろい雑貨屋さんがあるって」
「「どこに?」」
と由月と瑞希の声が重なる。
「隣の駅だって、あっ、先生来た。詳しい話は後でね」
と3人目の少女こと玲はさっさと自分の席へと戻っていく。
「だって。由月聞いたことある?」
聞かれた由月は黙って首を振る。
「瑞希は?」
「私もない」
「瑞希も知らない噂話し、なんて珍しいね」
「そう?」
「うん」
そんな会話を最後に、二人も自分の席へと向かう。
これから、2時間はまともなお喋りは楽しめないだろう。
短い休み時間中はあまり席を動かないから彼女たちはそれぞれ別の相手と話をするのだ。
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