気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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少し遅い時間に食べ始めた夕食も終わり、順番に風呂へ入ると、後は何もすることがなくなる。
する事が無いにも関わらず、お互いに同じ部屋に居るのだから、変な話だ。
もしかしたら、お互いに、どちらかが喋りだすのを待っているのかもしれない。
他に居場所がないというのも関係あるが…。
「けじめ、つけないか?」
そう考えていたら、向こうから話し掛けてきた。
「けじめ?」
「そう。けじめ。」
「何の?」
「これからの未来へと、これまでの過去にたいして。」
いまいち、意味が理解できずに眉をしかめる。
未来と過去のためにけじめをつける…?
「何で?」
「何でって、そうゆうもんだろ?」
「そうゆうもんなのか?」
「そう。」
「けじめをつけるって言ったって何をするんだよ?」
「かなたは何がしたい?」
「・・・・・・。」
急にそんなことを聞かれたって困る。
未来と過去のためにけじめをつける。
何をするのが、一番相応しいのだろうか?
「掃除。」
急に単語だけが飛んでくる。
「そーじ?」
上手く聞き取れず聞きかえす。
「そっ、掃除。これを期に綺麗にしておこうじゃない。ちなみにオレは、ちゃんと自分の部屋を掃除してから家を出てきたぞ。」
いつの話しだ?
「ああ、掃除ね。…って、どこを?」
後半部分をすっぱり無視して、再び尋ねる。
自慢じゃないが、どんなに忙しくても、部屋の掃除だけは欠かさずにやっている。少なくとも、こんな、夜中に掃除を始めなきゃならないような環境ではない。
「決まってんじゃん、鍵の掛かった部屋。」
言われた瞬間、何を言っているのか分からなかった。僕という人間はどうも、その手の理解力が低いらしい。
「だってさ、そろそろ開けてやってもいいんじゃない?」
彼の言うことももっともだ。
開けられない理由を考える。
考える。
考える。
思いつかない。
ただ…、開けたくないだけだ。
「ほら、いつまでもホコリだらけじゃ、部屋が可哀想だろ?」


確かに、けじめをつけるという意味では、一番やるべき事かもしれない。
良く考えれば、考えるほど、なぜあの部屋に入りたくないと思っているのかが分からなくなる。
ただ、単純に入りたくないだけで、きちんとした理由は何一つ無い。
一人では無理なことも二人でなら可能なのだろうか?
何故か、今はいつも感じる胸の痛みもなかった。
「な?決まりな?掃除しようぜ、あの部屋。オレを入れたくないって言うんなら、オレはここに居るし。」
「いや、いいよ。と言うより、お前から言い出したんだ。手伝え。」
「はいよ。」
ニコリと微笑みながら立ってる姿は、少し怖いものがある。
もしかして、彼に上手く乗せられたのだろうか?
「で、鍵はどこにあるんだ?」
「・・・・・?」
あれ?っと頭の中に疑問符が浮かぶ。
数秒の沈黙。
「かなた?もしかして…?」
「いや、そんなはずはない。ちょっと待て。」
はて?そういえば、最近まったく気にしていなかった。
最後にしまった場所はどこだっけか?
実を言うと、目に入るたびに気分が落ち込むので、場所を変えてきた。
最初は、引き出しの奥、次にカレンダーの裏、あまり開けない戸棚の中、ベランダの鉢植えの中に入れていて、もう少しで捨てるところだったということもあった。
最後に見たのはいつだっけか?
「あっ、思い出した。」
最後に見たのはもう何年も昔の話だ。しばらく強制的に眠らされていたのだから、記憶が曖昧でも仕方がない。
そうだ、最後に見たのは、二十歳の誕生日を迎える前日だった。
客が来るということで、絶対に見られない場所に移しておいたのだ。
「永夜。」
「何?いったいどこしまったの?」
「冷蔵庫開けろ。」
「は?冷蔵庫?鍵、どこやったか思い出したんじゃないのかよ?」
「いいから。」
「はい、はい。つーか、何でオレが開けにゃならんのよ。はいよ、開けたよ。」
ブツブツと文句を言いながらも、言われたとおりに行動しているのだから面白い。


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