「やっぱいいね。日本!」
「意味が分からない」
「オレの選択は間違ってなかったわけだ」
「ソウデスカ」
彼との「会話」について行くのは難しい。
「そうですとも、我が愛すべき古き良き時代を受けつぐ日本だ」
「何が言いたい」
「いや、もう良くわかんない」
「お前な・・・」
なら、どうして歴史ができない?という言葉がでかかるが、彼の言葉によって音にはならない。
「ははは。いや~、考えないで喋ると収拾がつかなくなるね」
「お前、考えて喋ってた事あるのか?!」
「うぇ!?何、その本気で驚いた的な反応」
「オレだって、考えて喋る時もあるぞ」
「じゃあ、考えて行動した事は?」
「あぁ・・・っと、そりゃ無いな」
ちょっと、自信なさげにしかし誇りを持って彼は答えた。
「無いな。じゃないよ・・・」
「ん~。結果、今があるんだから。問題ないっしょ」
楽しそうに喋る彼と一緒にカサも楽しそうに回っている。左クルン、右にクルンと交互に回る。
「そいや、かなた。お前は月に何がいると思う?」
いつの間にか真横に来た月を指差し永夜が聞いてくる。
「月?うさぎじゃないのか?」
もう十五夜ネタは終わったかと思ったが、そうではなかったらしい。
「それは一般的な話し」
「そもそも、俺はそのうさぎすらわかんないけどな」
「あら、そうなん?ちなみに、うさぎな理由としては、古くからうさぎは月よりの使者って言って親しまれた。んで、月を呼ぶ、ツキ・運を招く、月うさぎって感じに・・・」
「へぇ~。上手いこと考えたな。で、お前は月に何が見えるんだ?」
「へ?」
「人に聞いたからには、お前には「何か」がみるんだろ?」
「う~ん・・・。内緒」
「は?」
「だから、内緒」
僕の反応に彼はもう一度同じ言葉を繰り返す。その言い方に何故だか腹が立つ。
「殴っていいか?」
「あら、やだ。怖い事言わないのかなたちゃん」
「人に聞いておいて。それはないだろ?」
「結局、お前も言って無いんだから、お相子だ」
「・・・・」
「はい。怒らない、怒らない。ほぉら、スーパーは目の前だ」
陽気に言って彼はまた僕の数歩前を歩き出す。スーパーを目指して・・・。
end.
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