気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「向こうの、二部屋。」
「別に…。使ってないから。」
「そうなの?んじゃあ、何で向こうの空き部屋は、鍵掛かってないんだよ?」
まさか、そんな事訊かれるなんて思ってもいなかった。
「関係ないだろ。お前には。」
そうだ、関係ない。別に鍵が閉まってる部屋と閉まってない部屋があったって、関係ない。どうして、そんな意味のない事を訊いて来る?
「冷たいなー。ただちょっと、興味があっただけだよ。」
だったら、なお更だ。
「なあ?ちょっと見てみたいんだけど?」
「別に、何もないぞ。ただの部屋だ。」
「そうかな?オレには、ただの部屋には見えないけど?見たところ、まったく開けた気配がないし。さっき言った、空き部屋はちゃんと掃除されてるのに、鍵の掛かった部屋は、ここ何年か、まったく扉を開いた形跡がない。それどころか、鍵穴に鍵を差し込んだ形跡すらないってのはちょっと気になるんですけど?」
「…ッつっ。」
指摘されたくないことを指摘され、思い出したくないことまで思い出す。
思わず掴んだ胸は、いつも以上に痛かった。
どうして、こんなに痛いのか分からない。誰かに、心臓を鷲掴みされたような痛み。上手く動いてないのかもしれない。呼吸が詰まる。
「お前には関係ない。」
何とか、言葉にできたのは、その一言だけ。
「何で?」
「何でって…」
答える間もなく、彼は次の言葉を紡ぐ。
「関係ないなら、見てもいいよな?」
いつもの、彼らしくない表情。いったい何を考えている?
「…何で、何で、そんな痛そうな顔をするんだ?何がお前を縛り付けているんだよ?」
痛そうな顔をしているのは、お前の方だ永夜。なぜ、そんなにも気にするんだ?
言っている意味がまるでわからない。
「あの部屋は、何の部屋なんだよ?」
答えられない、絶対に。
答えたら、コイツは絶対に中へ入ろうとする。それだけは、ダメなんだ。
開けてはいけない部屋なんだ。
どうして、なのかは分からない。
ずっと、そう思ってきた。あの部屋は絶対に開けてはいけない。開けてしまったら、きっと何かが壊れてしまうから。
「開けちゃだめなんだ。」
知らないうち、僕は喋っていた。
「あの部屋は、絶対に開けちゃだめなんだ!だって…」
そこまで言って口を噤む。これ以上喋ってはいけないと頭の中の警告音が言っている


「だって、何なんだよ?お前が言わないなら、オレが言おうか?」
「やめろ。もういいだろ?なぜ、そこまであの部屋にこだわる?」
「こだわってるのは、お前だろ、かなた。」
お前はいったい何を知っているんだ?なぜ、そんなに必死にあの部屋を見たがる?
お前には、まったく関係ないんだ。
「じゃあ、もう一つ質問。」
「へ?」
急な話題転換についていけない。
「な…」
何が訊きたいんだと、尋ねることは出来なかった。口が上手く回らない。
「あれ、何なの?」
そういって、彼が指差す先にあるのは、腰ぐらいまでの高さがある棚だった。そして、彼が「何だ?」と問うているのは、その上に置いてあるものだろう。
「見て…わかんないのか?十字架だ。」
「いや、幾らなんでも、それはわかるよ。うん。その前に並んでる四つのビンは何なんだよ?」
高さ十五センチくらいの十字架の前に五センチぐらいの高さのビンが三つとそれよりはもう少し高い香水ビンが一つ置かれている。
小さい三つのビンには、それぞれ七分目位まで砂のようなものが入っている。香水ビンは空だ。
「今までも、すっげー、気になってたんだけど、なんとなく訊かないで置いたんだけど、やっぱ、気になるモンは気になるのよ。」
正直に答えるか、適当にはぐらかすか、迷ったがどうせ直ぐにバレるだろうから、正直に答えることにした。
「見て分かんないのかよ?」
コレくらいふざけるのはアリだろう?
「分からないから訊いてるんじゃないか。」
「そうか?分かりそうなもんだけど?」
「だ・か・ら、分かってたら訊かねぇって。」
クスクスと、笑いが自然に漏れる。
「遺灰だよ。」
「へ?」
素っ頓狂な声を出して、目を点の様にしている。
そんなに意外な答えだろうか。

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