買い物から帰ったら、まだ永夜は帰っていなかった。家を出てからは、軽く一時間は経っている。
「どこ、行ったんだ?」
他にも、何か用事があったのだろうか?
あれ?
そういえば、あいつ、鍵はどうしているのだろうか?
突然そんな疑問が浮かんだ。
一応オートロックなので、部屋のナンバーを記憶しているかどうかが、とても怪しい。
アイツのことだから、きっと覚えていないだろうな…。
「あれ?待てよ…?」
そういえば、こないだ醤油を買ってきた彼は、玄関のインターホンを鳴らしていたよな?
マンションの入り口はどうしたんだ?
「たっだいまぁー!」
考えていたそばから、タイミング良く答えが帰って来た。
「お帰り。なあ、お前って鍵どうしてんの?」
「ん?あれ?言ってなかったっけ?ほら。」
とか言いながら、家の鍵をポケットから取り出す。
「どうして、お前が持ってるんだよ?」
「そりゃ、色々やるのに必要だったから。」
「色々って?」
「まあ、色々。」
「じゃあ、どうやって、鍵を手に入れたんだ?」
「ん~。どうって、この部屋にあったのを一個失敬して頂いちゃったから。」
考えた僕がバカだった。というより、どうして鍵が一個無くなっている事に気がつかなかったのだろうか?
僕が管理している、家の鍵は二つあった。
一つは、学校の鞄に入れっぱなしになっている。前に一度、鍵を忘れて散々な目にあった為、それ以来、鞄の中に入れっぱなしにしていた。僕が出かける先は大体が学校しかないという理由からだ。
もう一つは、玄関の下駄箱の所に置いてある。
まったく確認していないから、永夜が取ったのは鞄の中に入っている方の鍵だろう。
「あのさ、一つ、オレから質問。鍵つながりで。」
「なに?」
「なんでさ、鍵、掛かってんの?」
「そりゃ、玄関に鍵を掛けるのは常識だろう?」
「んにゃ、玄関じゃなくて。」
「えっ?」
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