気の向くままに徒然と・・・
| Admin | Write | Comment |
カウンター
New!
~足跡~
[01/12 館主 遼]
[01/12 nameress]
[05/20 館主 遼]
[05/20 蒼月薫]
[04/11 館主 遼]
プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
Letter
バーコード
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「こんばんは。理事長」
「こんばんは。アキシェルツ君、久々の学園はどうだい?」
「最悪…ですね」
シュタを真似て敬語で喋る。普段は滅多に使わない。
「あははは、言ってくれるね。信じて貰えないかもしれないが、これでも良いほうなんだ」
「信じられませんね」
「構わないよ、普段どおりに話して」
にやりと笑う理事の顔が見えた。
「いえ、結構です。このほうが、貴方の本性を見やすいですから」
表情を変えずに相手の言葉を切り捨てる。
建物内に一歩踏み入ると、そこは明かりがまったく存在せずに闇と化していた。そんな状態でも相手の表情が見えるのは、自分の仕事柄といったところか。
「説明していただけますよね?」
「場所を移そうか?スグリ、灯りを」
「はい」
理事長の言葉に突然灯りを持ったスグリが現れる。
「アキ」
それを見たシュタがどこからともなくランプを取り出して見せた。
物質召喚魔法は基本中の基本だ。
シュタを先頭に、理事とスグリの後ろに続く。
明かりの中、改めて寮内を見回した。
自分が見知っていたのは、白を基調とした色使いの家具を集めた綺麗な場所だった。
しかし、今目の前に広がる光景は、至る所に蜘蛛の巣がかかり煤けた変わり果てた姿だった。
まるで何年も放って置いたような有様だ。
シュタはじっと前だけを見て進んでいる、前だけをというよりは理事長の背中を睨み付けているという表現のほうが正しい。
レイスは、周りの様子を伺いながら歩いている。どうやら、彼は本当に何も知らなかったらしい。
「どうぞ、こちらへ」
スグリが立ち止まり、理事長を入れてから先頭のシュタへ視線を合わせていた。
一瞬だがスグリの表情が変わる。それは、自分の目を信じるのならば恐怖を感じた表情。
「シュタ」
名を呼ぶと部屋に入ろうとせず、スグリを睨んでいたシュタが振り返る。
「後がつかえてる、早く入れ」
うまい具合に使われていたのが納得いかないのだろう。シュタはプライドが高い。
あまり、関心がないふりをするが実は相当の負けず嫌いだ。先ほどの部屋でのやりとりでも彼は一瞬感情を抑えきれずに爆発しかけた。それを押さえたのはレイスの登場だったが、あれがなければ今頃危なかっただろう。
普段は使われていることを、逆に利用して行動する彼だが、今回はそれをまた利用された。
「アキ?」
「分かってる。切り替えろ、シュタ。これからだ」
そう言って、口端を上げてみせた。
PR
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[40] [41] [42] [43] [44] [45] [46] [47] [48] [49] [50]
忍者ブログ [PR]
material by:=ポカポカ色=