元々仕事の内容が分からずに約束の場所に行ったのだ。どうなってもいいように、ある程度のものは持ってきていた。
まずは机の上に薬品を広げて、オリジナルの薬作りから始める。様々な場面・相手を想像して、あったら便利であろう物を調合してゆく。
「アキ。キミの想像で構わないから、今現在イメージしてる相手を教えてくれない?」
「憶測で簡単にものが言えるか、固定観念を持たれると困るからな」
シュタに向き直ることはせずに返事を返した。これで会話を諦めてくれればいいと思ったのだ。
「じゃあ、アキ。言わせてもらうけどさ、キミの経験というやつはそんな頼りにならないものなの?」
「何?」
「僕らに助言も出来ないような、そんなレベルなんでしょ?本当は」
「シュタルク?」
休めずに動かしていた手を止め、ため息を一つこぼす。
「…敵は相当強い」
「へぇ~」
「そして、何かしらあるんだと思われる」
そこまで言って、椅子の向きを変えシュタとレイスに向き直る。不安げな様子を見せるレイスと一度だけ視線を合わせ、後は視線を外して話始める。
「じゃなきゃ、学校側がとっくに動いて退治てるはずだ。しかし、手を出せない何らかの理由がある」
二人とも気のせいか真剣な表情で話を聞いていた。
「そして、相手は人間ではない可能性が非常に高い」
「つまり?」
「俺が言えるのはここまでだ。行けば嫌でも分かる」
PR