「万年筆だな。プレゼント確定じゃん。」
「ダレのものかわからないだろ?」
「ったく、捻くれ者め。よく見てみろよ。」
彼に言われ、万年筆を手に取り確かめる。そして、刻まれた文字に目がいく。
Kanata.I
「ダレが、どう見てもお前宛てだろ?」
「・・・・・・・・。」
胸の奥底から何かが溢れて零れ落ちそうになるのを必死で食い止める。
今までだってそうしてきた。万年筆をポケットにしまい、金庫に視線を戻した。
「かなた?」
「あった。」
「何が?」
「部屋の鍵」
金庫の扉にぶら下がっていたものを手に取り永夜に見せる。
「ちなみに、どれがどれ?」
「俺が知ってると思うか?」
僕の問いに永夜は笑顔で誤魔化した。
「他には何も入ってないのか?」
「え?」
永夜の言葉を聞き、僕は確認するためにも金庫の中に再び手を入れた。
「何だこれ?」
手の中に納まっていたのは、薄っぺらい空色の封筒。
「普通に考えると、手紙だね。」
宛名も差出人も書かれていないし、切手も貼っていないため当たり前だが消印も押されていない。
「普通じゃない可能性の方が高いよな・・・。」
「考えるより見たほうが早いんじゃない?」
「そうだな。」
無理やり封を破り、中を取り出した。
「手紙だ・・・。」
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