気の向くままに徒然と・・・
| Admin | Write | Comment |
カウンター
New!
~足跡~
[01/12 館主 遼]
[01/12 nameress]
[05/20 館主 遼]
[05/20 蒼月薫]
[04/11 館主 遼]
プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
Letter
バーコード
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

おかしかったのは、いつからだ?
教室に戻ってきたら、永夜がいて、話をしたいと言われ・・・今に至る。
話しの内容?自分の思うがままの人生?
全てを捨てる覚悟があるか・・・どうか?
意味が分からない。
全てとは、何を指すんだ?後は何を言っていた?
自由?永遠・・・?
えい・・・えん・・・?
大人にならなければいい?子どものままで?コドモノママデ・・・?
ありえない!信じろダッテ?無理ダロ。
ムリだ。
何を言っているんだ。質問の答えはすぐに出る。
だって簡単だ。
ありえないだろう?
否定以外。
肯定したところどうなる?きっとバカにされるだけだ!
怒りが頂点に達し、イスを跳ね飛ばして勢い良く立ち上がる。
「お前、バカにしてんだろ!答え?決まってる、ノーだ!」
ガタ、ガタンと椅子が倒れる音が僕の声に重なる。いつもの教室だと大して気にならない音なのに、今はものすごく大きな音に聞こえた。ついでに、自分の声も信じられないくらい大きな声に聞こえる。
「ありえないだろ!!何が四ヶ月間考えただ!そんだけ時間があったのなら、もっとマシなウソをつけ!大人にならなければいい?子どものままでいろ?できるなら、とっくの昔にやってるよ!!
いい加減にしろ!なんなんだよ!お前!」
僕は一旦言葉を切り、息を吸う。後は感情のままに切り捨てる。
「信じろだって?本気で言ってんのかよ!」
久しぶりに怒鳴った。
ハァ、ハッァ・・・と息を荒げ、永夜を睨み付ける。
もう、何がなんだか分からない。
変な恐怖に囚われて、雰囲気に呑まれて話を聞いて・・・。
どうしたらいい?どうしたらいい?
ドウシタラ、イインダ?
頭は混乱する一方だ。こんな事は初めてだ。
何が・・・どうしたんだ?落ち着くんだ、自分。
オチツケ・・・。
頭の中では、色々な言葉グルグルと回っている。
分かってる。ワカッテル。
僕にしてみれば、全部魅力的な言葉だ。
でも、信じられるはずがない。
起こればいいと思っていた奇跡が目の前にある。
でも、ありえるはずがない。
コイツは、ふざけているダケダ。
突然、視界が真っ白に染まる。それと同時に耳をつんざくような激しい音。



・・・・・・・。
雷だと、気がつくまでにしばらく掛かった。
「落ち着いたか?かなた。」
ボー然としていると、上から声が降ってきた。
いつの間にか、床にしゃがみ込んでいたらしい。名前を呼ばれたのもあって視線を上に向ける。
「何を・・・するんだ?」
「ああ。証拠、見せようと思って。」
あまりにも、あっけらかんと言うもんだから、僕は、次に彼がどんな行動に出るのかが想像がつかなかった。
「かなた。見てろ。」
そう言われては、見ていなければならないと、素直に従う。さっきまでの怒りはどこへいったのか?
もう、自分自身も永夜の事も理解できない。
立ち上がると、永夜が後ろへ下がれと言う様に、手をはらっている。これにもなぜか僕は、大人しく従う。
彼はというと、左手の袖をめくり、ちょうど手首のところに、右手で持った小型ナイフを当てている。小型ナイフと言っても果物ナイフのような物だ。
ナイフの事なんてまったく知らないから分からないが・・・。
銃刀法違反。
僕の中でそんな言葉が浮かんだ。
護身用?
彼は、僕のほうへ視線を向ける。
目が合った。
彼が、ニヤリと笑う。
先ほどから見ている嫌な笑みだ。
「掃除が大変なんだよなぁ・・・。」
と意味の分からないことを呟いくと、右手に力が入るのが見て取れた。
そこで、僕は初めて気づく。
彼が何をしようとしているのか・・・。
「ま、まっ、待て!永夜!」
叫ぶ事はできても、体が動かなかった。なぜ、すぐに気がつかないんだ。
彼はさっきからナイフを片手に持っていた。
だから、「何をするんだ?」と聞いたんだ。
「っ痛―・・・。」
雨音とは別に、水滴が落ちる音がする。
「やっべぇ!力入れすぎたぁあ。うっそ、ストップ、ストップ!つーか、かなた見てろ!だあぁー」
急に騒がしくなる。
ストップと言いながら手首を押さえているが、無理だろう。それで、血が止まれば、医者なんて必要ない。
「だあ、ウッソぉ、床、真っ赤?うげぇ・・・。」
辛うじで日本語に聞こえる言葉を発しながら、彼は手首を押さえている。
彼の足元は、真っ赤に染まっている。出血量は尋常じゃない。
「加減、間違ったな・・・。クラクラしてきたし。」
そう言いながら、机に深く座り、窓に寄りかかる。彼の腕から、血は・・・もう流れて・・・いない。
早く・・・ないか?血が止まるの・・・?
「あっ、ほら、かなた・・・見てみん。」
彼は僕に見えるように左手を差し出す。
右手を額に当てながら、天井を眺めている。多少、呼吸が乱れて聞こえるのは気のせいか・・・?
僕はゆっくりと彼に近づく。
血溜まりを避けて立ち止まり、彼の左腕を取る。
酷く冷たかった。
・・・・・・・・・・・・。
しばし、眺める。
傷は見えない。
こんな薄闇では見えないらしい。
右手で、ゆっくりと触れてみる。
乾いた血がザラついていた。
しかし、出血が止まっているのは確かだ。
だって、乾いているんだ。ネットリはしていない。


PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[129] [130] [135] [136] [140] [141] [142] [144] [145] [147] [148]
忍者ブログ [PR]
material by:=ポカポカ色=