気の向くままに徒然と・・・
| Admin | Write | Comment |
カウンター
New!
~足跡~
[01/12 館主 遼]
[01/12 nameress]
[05/20 館主 遼]
[05/20 蒼月薫]
[04/11 館主 遼]
プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
Letter
バーコード
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

そんな風に答えようとしたら、それよりも早く彼が答える。
「契約の代償。」
当然の事のように彼はサラッと答える。
人に尋ねておいて、答えを待たずにさっさと答えを言ってしまうのは彼らしい。何より、今の彼の表情がいつもの彼らしさを表していた。
どこか楽しそうで、それでいて何かをたくらんでる様な、そんな表情。
けれど、やはりいつもと違う。
それは、満月を背にして傘を差しているせいなのだろうか?
「代償?」
「そう。代償。なあ、今からお前ん家、行ってもいい?」
「はあ?」
非常識にも程がある。今は、間違っても人様の家に出入りしていい時間ではない。
「ほら、話あるし。」
「あ、そうだ。・・・お前、今日なんで来なかったんだ?」
そんな事実を思い出したのと一緒に、鞄を学校に置いてきている事に気がついた。
今からではもう遅い。
「だから、それも含めて。話したいことがたくさんあるんだって!」
「明日じゃ駄目なのか?」
「今日じゃダメなのか?」
確かに、今日じゃ駄目な理由なんてどこにもない。それに、昼寝という範囲を大幅に超えて、今の今まで寝ていたのだから、今夜はもう寝ることもできない。
そういえば、久々に良く寝たな。
そんなどうでもいい事を考えながら悩んだ挙句、彼を家に招く事に決める。
「分かった。」
「おっしゃ!助かった!」
少し喜び方が大げさじゃないか?
しかも、助かったってどうゆう事だ?


「いや~、助かったよ、かなた。お前ん家いったら留守なんだもん。今夜は、野宿決定かと思ったよ。ホント、こんな、寒空の下で寝るなんてありえねぇよな。」
家に着き、ソファーに腰掛けるなり即効でしゃべり始めた永夜は、何故だかいつも以上に饒舌だった。
「なんだよ、野宿って。」
温かいコーヒーの入ったカップを渡しながら、彼に問いかける。やっぱりコイツの事はさっぱり理解できない



「あ~。オレね一人暮らししてるわけよ。」
「それは知ってる。」
あれ?どうして僕はそんなことを知っているんだ?聞いたのはいつのことだ?
そんな事を疑問に思ったが、彼は待ってくれない。さっさと話しを進めていく。
「だよな。それがさ、オレ、なんか最近ついてないのよ…。」
らしくないテンションの下がり方をする永夜を見て、僕は思い当たったことを口にする。
「もしかして、鍵無くしたとか?」
「かなた?」
「な、何?」
珍しく、怒気を含んだ声で名を呼ばれ、返事が若干引き気味になった。
「オレ、そこまで抜けてないぞ!失礼なやつだな。だいたい、鍵なんていつもかけてないし。だから、持ち歩くことはしないよ。つまり、落とすこともしません。」
なんて言うか、それ以前の問題だ。
自身満々に言っているが、はっきり言ってそんな風な態度で言って良い台詞ではない。
と言うか、こんなやつが一人暮らしを成立させられるなんて奇跡に違いない。
「だって、ほら盗まれるものなんて何もないし。」
「そうゆう問題じゃないだろう?」
「そうかなぁ?まあ、いいや。んで、オレね、今、路頭に迷ってんの。」
「はあ?」
「今まで住んでたアパートがさ、取り壊し決定してさ。もう、大変。」
「じゃあ、他の所に住めばいいだろう?」
当然のことを言ってみるが、彼はあまりいい顔をしない。
「金がない。なにより、めんどくさい。」
「面倒くさいって、お前な…。」
そんなんで良いのか?と疑問に思いつつ、やっぱりコイツは理解できないと改めて認識する。
「だってさ、オレ、戸籍しっかりしてないから。つーか、保証人なんてありえないし…ってもしかして、そうゆう説明からしなきゃならないの?うっわー。そうだよな。うん。で、今まで住んでたとこは、年寄り夫婦が大家やってて、小難しい取引しなくても住まわせてくれてたわけよ。でも、大家が二人とも亡くなって…その孫ってのが、なんかテラスハウスだかを建てるんだと。まあ、そんなこんながあって、今日は学校を休んだわけよ。」
ほとんど適当な説明なため理解できない。
結局、今日休んだ理由はなんだったんだ?
僕が尋ねる前に彼は喋りだす。
どうやら、もう僕からの質問は受け付けないらしい。
「ってことで、かなた、よく聞け。めんどいから一度しか説明しないぞ。」
そう言うと彼は長々と語り始める。


PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[140] [141] [142] [144] [145] [147] [148] [149] [150] [153] [154]
忍者ブログ [PR]
material by:=ポカポカ色=