気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「さて、多分長くなるから座った方がいい。」
「ああ。」
廊下からの明かりのおかけで辛うじて彼の表情が確認できる。促されるままに、近くにあった椅子を引っ張り出し、背もたれを抱え込むようにして座った。
窓を背にして机に座る彼と、真正面から見合う形だ。若干、見下ろされているところが気に入らないが、まあいいだろう。
僕が見下ろされているのはいつもの事だ。
「いいか?これからする話は、冗談なんかじゃない。本当の事だ。お前だから話すんだ。」
また、窓の外が光る。
一瞬、教室の中が昼間のように明るくなった。再び、闇が訪れたと認識した次の瞬間には、雷鳴が轟く。確実に、光と音の間隔は短くなっている。
「返事は?かなた。」
「あっ、ああ。分かった。」
先ほど感じた威圧感が再び戻ってきた。これで、気のせいじゃなかった事が証明された訳だ。
証明されたからと言っても、何の役にもたたない。
この、変な状況はまったく変わらない。
「いいか?これから話をするのは、オレであって、オレじゃない。」
もうすでに、話しが理解できない方向へ向かっている。
「意味が分からない。」
「だから、オレ、天崎永夜ではなく、ヒサヤ・キアロ・デフェルが話すんだ。」
「・・・。」
一気に眉間に皺がよる。
無意識にそうなったのだから仕方がない。言っている意味が分からない。いきなり、こんな妙なことを言われたら、誰だってこうなるだろう。
それに、彼のしゃべり方は周りの空気とはアンバランスで、変な風に明るい。語尾に音符マークかハートマークがつきそうなほどに明るいのだ。
ますます、彼が妙な奴に見えてくる。
「何だって?」
「もういい。黙って聞いてろ。」
そんな台詞とともに光と音が同時にやってきた。
そして、一瞬にして世界が変わる。
どこか、蒸し暑さを感じていた教室は、一気に気温が下がり長袖のワイシャツ一枚では肌寒く感じる。
居心地の良い教室にいたはずが、どこか知らない場所にいるようだ。
今すぐにでも、逃げ出したかったが、体が思うように動かない。
反応しないと言うべきか?
嫌な汗が背中を流れている。
はたして、自分は今、何をやっているのだろうか?
もしかしたら、金縛りにあったらこんな感じだろうか?
おかしな事に、体は恐怖を感じているのに、脳の方はそうでもなかった。
現に、物事を冷静に見ることができている。



「オレは、お前が気に入った。だから、こんな話をするんだ。いいな?」
さっきも、似たようなことを聞かれた気がするが・・・・。
「今まで、生きてきた中で初めてなんだ。お前みたいな、どうしょうもない奴に出会うのは。」
返事をする間もなく話しは進んでゆく、聞き捨てなら無いことを相手が言っているが、ここは大人になって口を挟まないで置いた方がいい。絶対に・・・。
しかし実際は、変な威圧感に負けて声を出せない・・・。
それにしても、ホメられているんだか、けなされているんだか分かったもんじゃない。他に表現方法はなかったのだろうか?

再び光と音が同時にやってくる。確実に近づいて来ている。雨、風、雷、全ての音がさっきよりも凄さが増している。
数秒の沈黙。そして雷。
「自分の・・・思うがままに、キミも自由と、永遠を手にしてみないか?」
光を背に、まるでどこかの悪役のような微笑を見せ、彼は言った。
そして、彼は表情を変える。
その瞬間、さっきまでとは、比べ物にならないくらいの威圧感・恐怖を感じる。 
その顔は完璧な無表情。そして、座っていた机から、軽く勢いをつけて飛び降りる。
今度は座らずに寄りかかるだけに留め、両腕を胸の前で軽く組む。
「お前は、オレに言っただろう?大人にはなりたくない・・・と。だったら、ならなければいい。ずっと、このままのカタチで生きていけばいいんだ。ずーっと、子どものままでいればいい!だろう?何も迷うことは無い。」
僕の頭は、もうフリーズしかけている。
彼は組んでいた腕を解く。
「全てを捨てる覚悟がお前にはあるか?自分の願いを叶えるために、お前はどれだけのモノを捨てられる?全てお前次第だ。」
何を・・・言っているんだ?
声にはならない疑問が頭の中をグルグル回る。
意味が分からない。
「わからないか?・・・お前の願いを叶えてやると言ってるんだ。信じたくなければ信じなくていい。」
「選択肢は二つ。」
軽く右手を上げ、ブイサインをしてくる。
「Yes or No?」
妙に、流暢な発音で問いかけてくる。
しかし、あいにく僕の頭はフリーズ中だ。簡単な二択でも、そんなすぐには答えられない。
「時間はタップリある。ゆっくり考えろ。」
言われなくとも、そうする予定だ。まずは、頭の中を整理しよう。


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