気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「話しなら、毎日してるじゃないか。」
「もっと、込み入った話しだよ。多分、今日・・・しかも今じゃなきゃできない話。」
本当に、彼が何を考えているのか分からない。
ここへ来るまでに、動き回っていたせいか暑さを感じ、ブレザーを脱ぐ。手近にあった机の上に置いて会話をリスタートさせる。
「何で、今日?」
「えっ?決まってんじゃん。今日はお前の誕生日!今日、この日以外に、いつしろっての?今日だからこそ意味があるんだ。」
どこか、嬉しそうに・・・笑いながら彼は言葉を紡ぐ。
「今、ってのは?」
「誰もいないから。」
「誰もいないって、もうすぐ先生が見に来る。」
「来ないよ。」
「なぜだ?」
「だって、来ないから。」
「答えになってない。」
「来ないもんは、来ないんだよ。」
さっきまでの笑顔が嘘のように、急に真顔になる。
なぜこうも、次々と表情が変えられるんだか?
ふと雨音以外に何も聞こえないことに気がついた。誰も居ない学校ほど怖い場所は無い。
シーン・・・
と静まり返った学校は、昼間と比べるとまったく別世界へと変わる。
けれど、教室だけは違った。彼がいるおかげなのか、ココはいつもの居なれた世界だった
はずなのに…。
「二人だけで、真剣に話ができるだろう?邪魔も入らない。」
真顔というよりは、無表情。そんな表情で話す彼に、どこか恐怖を覚える。
「・・・・な、何の・・・話・・・なんだ?」
思うように口が回らない。いつもふざけていて、マジメにしている事のほうが少ない彼からは、想像もつかない空気が放たれている。
何か、違和感を覚える。
今、目の前にいるのは、本当にいつも話をしている彼なのか?
・・・・・・・・・・・・。
どこか、遠くで雷の音がした。時機にもっと大きな音がするだろう。



「夏休み前、話をしたのを覚えているか?」
言葉を発さずに、ゆっくりと首を振り否定の意を示す。
話なんて、数え切れないぐらいしているんだ。どれの事を言っているのかがまったく分からない。
「えーっと、何て言えば分かりやすいんだ?」
急に、空気が変わった。
しまった、というように彼は右手で前髪を掻き上げている。
彼の雰囲気がいつものモノに戻る。さっきのはただの気のせいか?
「何の話なんだ?もっと、具体的に言ってくれなきゃ分からない。」
思ったよりもスラスラと言葉が出た。そういえば、普段話をしていても、時々違和感を覚えるときがある。
「あぁっと、ほら、オレの誕生日にした話!」
「お前の誕生日?・・・ってもしかして・・・。」
「そう!誕生日が好きか嫌いかって話。」
先ほどとは、全く違うテンションで話を進める彼に対し、僕のテンションはまた一段と落ち込む。
「あの話はもう忘れてくれ。」
「うんにゃ。忘れられないね。約束したし。」
うんにゃって・・・、何語だよ。しかも約束って・・・?
「約束・・・って何?」 
「言ったろ?お前の誕生日には、お前を納得させる言葉を見つけておくって。それで、かなた。お前の考えを改めさせてやるってな。」
自信満々の笑顔で彼は語る。
「無理だ。嫌いなものは嫌いなんだ。今更、好きにはなれない。」
「ああー。好きにはならなくていいよ。きっとお前のことだから、そこまでは考え方変えられないと思うから。せめて、嫌いじゃなくなって欲しいと思ってね。」
窓の外で空が光る。外は相変わらずの大嵐だ。
窓を背に、机の上に座っている彼の表情が光のせいで影って見えなくなる。
そして、今になって教室の電気が点いてない事に気がついた。
だいたい、自分ですら何でこんなにも嫌っているのか分からないのだ。今更、他人にどうこう言われて、好きになれるようなものではないないだろう。
「そこまで言うなら、聞いてやる。」
「だろ?オレってば、この四ヶ月間マジメに悩んだんだぜ?」
さっきよりは近くで雷の音がした。
聞くだけはタダ。損することはないだろう。
・・・・・・・。
お互いにしゃべらないでいると、辺りはシーンと静まり返る。
否、僕がそう感じるだけで、実際は窓に当たる雨音や吹き付ける風の音とが断続的に聞こえている。


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