気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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普段は家に人がいる場合は鍵を掛けていることはない。もしかして、僕を置いて食事にいったのか?
あの人(祖父)ならありえる話すぎて、何故だか笑いがこみ上げてくる。
「はっ、ははは・・・。」
「やっぱり・・・誕生日なんか嫌いだ。」
ドアノブを握ったまま、ドアに寄りかかる。念のためもう一度回してみるが、やっぱり開きそうもない。
それでも、まだ、そんな事信じずにはいられなかった。
最後の望みのインターホンを押してみる。
ピーンポーン。
先ほどのエレベーターよりも間抜けな音。なんだか悲しくなってくる。
「・・・・・・。」
しばらく待ってみるがやはり反応が無い。仕方がないので鍵を開けて入るしかない。
ポケットに手を突っ込んだとき、家の中から何かけたたましい音が響いた。
トゥルルルル!トゥルルルルル!
電話の音だと気づくのにしばらくかかった。急いでポケットから鍵を取り出そうとするが、中々うまくいかない。手が抜けたと思ったときには、手の中は空だった。
金属がコンクリートに落ちた音がして、そこで初めてきちんと握っていなかった事に気づく。
「くそっ。」
こんな時に限って・・・。早くしろと言わんばかりに電話は鳴り響いている。
トゥルルルル!
何、お決まりみたいな事をやっているんだ僕は・・・・。慌てて鍵を拾って、鍵穴に差す。
鍵を回すと、ガチャリと音がして鍵が開いたことを知らせる。久しぶりに自分で開けた鍵はひどく重く感じた。
トゥルルルルル!!
玄関を勢い良くあけると、玄関越しでもけたたましく聞こえた電話の音が余計にうるさく聞こえる。家の中は真っ暗だった。それを見て一気に冷静になる。何でこんなに焦ってるんだ?
「こんな大きな音だったっけ?」
靴を脱いでリビングに向かう。普段から、こんなに大きな音だったかどうか記憶に無い。しかし、電話の相手は相当しつこい人間らしい。
「はい。もし、もし?」
漸く電話を取ると、相手の人間は一気に喋りだした。
「あっ、やっと繋がった。もしもし?一ノ瀬さんですか?こちら・・・・・総合・・・ですが、今日、午後一時ごろ・・・の事故に・・・巻き込まれて・・・さん、・・・さん、・・・さん、の三名がお亡くなりに・・・・もしもし、大丈夫ですか?警察の・・・方も・・・・他にご遺族の・・・連絡・・・ですから今すぐに・・・病院に・・・・・・さい。」
ツー・・・ツー・・・
若い男の声だった。



何て一方的な電話なのだろう?喋るだけ喋って切りやがって・・・。おかげで半分も聞き取れなかった・・・。
どこからの電話?
病院?事故?
意味がわからない。
何がどうしたって?なくなる?
・・・・・・・。
何故だか急に息が苦しくなる。
胸が痛い。
体温が急激に下がっているのがよく分かった。
締め付けられる様な胸の痛さに呼吸ができない。
死んだって…事か…?
誰が死んだって?
誰が?
だいたい、相手が子どもだって分かってないのか?
言い方ってもんがあるだろう・・・?
誰と誰と、誰が死んだって?
巻き込まれて・・・?交通事故?
何の話だ?何かの冗談だろう?
電話の内容を理解するとともに事実も理解しなければならなかった。
とりあえず分かった事は、もう二度と母さんにも父さんにも、そして祖父にも会えないということだ。
「うっ・・・うぅ・・・父さん、母さん。なんでだよ。食事に連れてってくれるんじゃなかったのかよ?まだ僕は、オメデトウも言ってもらってないじゃないか・・・誕生日なのに・・・。なんで・・」
何故こんな事になったんだ?
どうして?
立っているのが限界でその場に座り込む。涙がこみ上げてくるが、なんとかして押さえ込もうとする。
手は自然と胸の辺りでシャツを握り締めている。
だんだんと手に入る力が強くなる。
もう感覚すらないのかもしれない。
何で、こんなに苦しいのかわからない。
胸がイタイ。
これは何の痛み…?
涙が出てくる理由すらわからない。
泣いてはいけない・・・泣いてはいけない・・・。
最後に母さんは何て言っていた?笑顔で・・・?
最後に父さんは・・・?僕は何て言葉を交わした?
祖父と話をしたのは?
今日、僕はなんて言われていた?
早く・・・帰って来い・・・?
約束?何を・・・?
誕生日・・・お祝い・・・?
どうして・・・?何が・・・あった?
死んだ?どうして・・・。
泣いてはいけない。
理解できない。
なぜ?
だって・・・あの日誓ったから・・・。
泣イテハイケナイ・・・。
だって・・・これから、ずっと一人なのだから・・・。
僕には、泣く権利なんてないから・・・。
「だ・・・だから、誕生日は・・・嫌いなんだ・・・」
病院へ行かなくちゃ…。


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