「そうだよ。そんな容姿のやつが就職できるってどんな会社だよ?俺なんて今、就活で毎日忙しいってのに・・・。」
「あれ?就職活動、もうやってんの?」
「あっ、お前専門だっけ?」
「そうだよ。たっく、クラスのやつ殆ど決まってるってのによ・・・マジでやばいよ。」
「まあ、がんばれよ!そのうち決まるって。ちなみに俺ら四大だからまだ先の話!」
「ずるっ。くっそー。俺も大学いっときゃ良かった。」
「つーかさ、お前らみんな、何になんの?」
「・・・決まってりゃ苦労しないよな・・・。何になればいいんだろうな・・・?」
「ホント、先の話しとかって言ってらんないだよな。何?そんなに大変なん?」
「そりゃーね・・・。マジ、色んなもんがあらゆる意味でプレッシャー。あれ?他に専門いなかったっけ?」
「はい、はーいっ!オレも専門。でも、もう決まってまーす。」
「おー、すげーじゃん。」
「何?何?どこ就職すんの?」
「何!嫌がらせ?それって俺に対する嫌がらせ?どうせオレはうぅぅ・・・のろまだよ、高校進学の時だって・・・、大学のときだって、クラスの中で・・・決定するの・・・一番最後だったし・・・うっく、飯食うのも・・・トロくていつも皆に迷惑かけてるし・うぅぅ・・」
「「・・・・・・。」」
「いや、あの・・・。えっと・・・。」
「だあ!誰だよ。こいつにこんな話ふったの!」
「てか、こいつ酒飲むと泣き上戸(じょうご)になるんだぁ、へ~。」
「感心してる場合かよ」
最初の質問はどこにいったのか?酒を飲む手を休めずに、どんどん会話が進んでゆく。すでにテンションがおかしいやつもいるし。
「おい、おい。俺の話はドコいったんだよ。お前ら勝手に話進めんなよ。」
「あー。お前の話はどうでもいいの。それよりさ、聞けよ。オレついに彼女できちゃった!」
「そんなん、もう知ってるって。」
「それこそどうでもいいよ。ホントお前のメール、ウザすぎだしさ。」
「なあ、腹減ったんだけど?何か食うもん買って来なかったっけ?」
「そのへんにあんだろ。それより、この酒もっと無いの?」
「つーか、何が楽しくて、ヤローだけで飲み会なんてやってんの、俺ら?」
「・・・・。」
「・・・・・・・。」
「・・・あり?言っちゃいけな・・・かった・・・?」
・・・・・・・・・。
時には、気づいても口にしてはいけないこともある。そんなことも知らないのかコイツは・・・。
きっと、この場にいた誰もが思っていたのだろう。しばしの沈黙が流れる。
誰が言い出したかは分からないが、何となくでかけた曲が、ここぞとばかりに自己主張。
ちょうど掛かっていた曲は、三三七拍子・・・・?
そして、宴会の席ではそんな沈黙も長くは続かない。エンドレスで回り続ける曲に耳を傾ける奴は誰も居ないだろう。