気の向くままに徒然と・・・
| Admin | Write | Comment |
カウンター
New!
~足跡~
[01/12 館主 遼]
[01/12 nameress]
[05/20 館主 遼]
[05/20 蒼月薫]
[04/11 館主 遼]
プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
Letter
バーコード
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

まずいな。
どうやら、彼の怒りに触れてしまったらしい。
仕方なく、防御魔法を使うためにも気を引きしめた。
「何やってんだ・・・お前らは?」
しかし、飛んできたのは場にそぐわないあきれ果てた声。
シュタも自分もとっさに声が出ない。
「お前ら何考えてんの?常識的に考えて、部屋でそんな派手なケンカするやつがどこにいるんだよ。それとも、何?ここが闘技場かなにかに見える?」
呼吸する間もなく、淡々と喋る彼を黙ったまま見つめる。
沈黙が落ちた場を崩したのは、シュタだった。
「レイス」
「何?」
シュタの声ににっこりと笑って返事をするレイス。
その笑顔に恐怖を覚えるのは俺だけか?
「いつ入ってきたの?」
「たった今」
相変わらず、笑顔を貼り付けたまま彼は言う。
「気づかなかった」
「だろうね。アキシェもシュタルクも真剣だったみたいだから」
レイスが歩き出し、シュタのすぐ横に刺さった剣を引き抜く。
気づかなかった自分に少なからずショックを受けた。
「アキシェ、そんなショックな顔しないでよ」
「顔に出てたか?」
「うん。すごく」
「・・・・・いくら、シュタに集中していたからとはいえ、こんな狭い部屋に人が入ってくるのに気づかないなんて・・・。仕事中なら、ありえない」
「アキシェ、これ、一応おれの特技。だから、そんなに落ち込まれると非常に困る。まあ、隠密行動得意でも、実戦ではあまり意味ないんだけど・・・」
「ああ、そうだな。忘れてた」
自分の存在を希薄にして、相手に近づくのが彼の特技だ。故に彼は接近戦を得意としている。
「ちなみに、今のはシュタルクの完全な負け」
レイスが何でもない事のように自然にそんな事を言う。しかもやたらと「完全な」に力を入れて。
「な、何で!」
ありえないとばかりにシュタがレイスの言葉に噛み付いた。


そんな言葉にレイスは声を出さずに己の首をとんとんと指で示す。
はっとしてシュタが自分の首を押さえ、それに着いたものを見て目を見開く。
「はあ・・・・降参」
眉間にシワを寄せ、ため息を吐いたシュタが両手を上げて降参のポーズをとった。
「はい。アキシェ。一応言うけど、ちゃんと全部回収してね。壁に刺したのがこれ一本だけだったから許してあげるけど」
レイスから投げた剣を渡され、ついでに部屋の中を見回すと、あちこちにナイフが散乱している。
「もしかして、ワザと?」
それを見たシュタが真剣な表情で聞いてきた。
「そりゃあ。部屋を穴だらけにしちゃまずいだろう?」
「やっぱ、アキには叶わないや」
そんな俺の言葉を聞き、シュタが言う。
「だって、そんな事意識しつつも、手抜いてあれでしょ?僕なんか手抜くのだけで精一杯だったのに」
「経験が違うだろ」
「授業でも勝ったことなかったけど?」
「お前が真面目にやらないからだ」
「アキとの勝負はいつも真剣だったつもりだけど」
「そうなのか?」
「今だって、危なかったし」
「は?」
意味が分からない。
「危うく、本気で君に攻撃するとこだったよ」
「そんなことしてみろ。結界も張ってないここじゃ、部屋ごと消えてなくなるぞ」
「いや、そのへんはちゃんと制御するけど・・・」
「安心しろ、本気出されても自分の身を護れるだけの技術は持ってる。この部屋がどうなってもいいならの話だけどな。受けずに逃げればいいだけの話だ」
「待った。部屋だけは死守してもらわないと困るよ。寮長としてのおれの立場はどうなるの?」
「悪いがそんなものより、己の命第一なんでね。部屋を守れと依頼を受けたなら別だけど」
冗談半分、本気半分。笑みを浮かべレイスに視線を合わせた。
「まあ、ともかく。こんなバカな真似二度とするなよ。そもそも、何でこんなことになったのさ」
「あ~っと・・・」
避けたかった話題に触れられ、思わず言葉につまり、視線を泳がす
「何?アキシェ」
「なんでもない。ちょっと、昔を思い出して戯れてただけだ」
「へぇ~」
無理がある言葉、レイスの視線が俺からシュタへと移る。
「そうそう。ついつい懐かしくなっちゃって」
シュタが当然のように俺の曖昧な言葉に賛同する。


戻る?進む?
PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[321] [320] [319] [318] [303] [302] [120] [301] [300] [299] [298]
忍者ブログ [PR]
material by:=ポカポカ色=