「まあ、でもそれなら問題ない。あいつらに、会いたいとも思わないし、今まで会ってきた人間に何の未練も愛着もないから。」
「ぬゎ~。冷めてるねぇ、かなた。お前、ドライすぎ。今まで何を楽しみに生きてたんだよ?」
「…さあ?そういえば、死のうと思ったことは一度もないな。死にたくないと思ったことはあっても…。ん・・・・でも、生きたいと思った事も一度もないな。」
矛盾してる。
矛盾しすぎて、何が言いたいかもわからない。
「うっわ、お前、受動的に生きてるんだな?んじゃ、生きてて楽しいと思った事は?」
受動的…?
会話は確実に変な方向に向かっていた。
「……。」
こうゆう、話題は好きじゃない。
しばらく考えてみるが、そんなものまったく思いつかない。
僕は今まで何のために生きてきたのだろうか?
常に、なんとなく生きてきた。
毎日が同じ日で、同じことの繰り返し。
何の刺激も無い毎日。
いや、違うな。
毎日が同じというのはありえない。
まったく変わらないのは、僕自身だ。
今まで、何もしないで生きてきた。
自分が何もしなければ、毎日は同じで、何も変わらない。
ただ、「生きる」という行為をしていただけで、「生きよう」とは、一度だって思ったことはない。
では、何故自分は生きようとしなかったのだろう?
…………。
それすらも、分からない。
父や母がいた頃から、こんなだったろうか?
僕は、何となくで生きていたのだろうか?
否定したいのに否定できない。
そんな自分に、心底嫌気がさす。
ほら、また胸が痛み出す。
涙を流さないと誓ったのはいつの事だったか…?
身内が全員死んだのに、涙一つ見せない僕に参列者は好き放題言っていた。
貰うものだけ、貰って去っていった見知らぬ、遠い親戚だと名乗った女性はあれから一度も会ったことはない。
だから、ずっと一人で生きてきた。
誰にも頼らないと決めたんだ。
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