知りたいこと…?
あるとすれば、僕は本当に「不老不死」というものなったのかどうかだ。
確かに、いくつかそれっぽい証拠を見ている。けれど、やはりどこか信じられない。
最悪、これは夢だという可能性さえあるんだ。しかし、先ほど感じた痛みもそうだが、全てがリアルすぎる。
百%そうだと言えるような証拠を何一つとして見ていない。逆に言えば、何を見れば僕は百%そうだと信じられるのだろう?
そこまで考えてある疑問が浮かんだ。
彼はなぜ、ココにいるのだろう?
窓際で、カーテンを掴んでいる彼へと視線を向ける。
「お前、イギリス生まれ、イギリス育ちなんだよな?」
「ん。まあ、一応。」
「じゃあ、何で日本にいるんだ?」
振り返ると同時に答える。
「そりゃあ、飽きたから。」
明るい口調で喋ってはいるが、表情はどこか暗い感じだ。
僕の目の前に戻ってきて、膝を抱え込むようにして座る。
「飽きた?何に?」
「ヨーロッパ大陸。」
イギリスとか答えるならまだ分かる。まさか、大陸という答えが返ってくるとは…。
範囲が大きすぎるだろう?そもそも飽きるもんなのか?
「日本にはどれくらい、居るんだ?」
「え~っと…。終戦してすぐだから…六十年近くかな…?」
「何で、他のところへは行かなかったんだよ?アメリカとか中国とか。」
「中国は人口多いから、アメリカは…そん時頭に無かったな…そういや…。それにほら、日本が一番安全だったから。興味あったし。」
「安全?」
今でこそ、日本は安全な国と称されているが、終戦直後ではそうでもないだろう。なにより、ひどい混乱状態だったはずだ。
「あ~でも、混乱状態ってのが、一番の理由かな。」
「何で?」
「だって、入り込みやすいだろう?アメリカ人が残っているから、俺みたいな容姿のがウロウロしてても何も言われないし。何より、アメリカが背後にある国だから一番安全な国になるだろうと思ったんだ。見てみたいとも思ってたし。特に京都とかさ。」
「で、行ったのか?京都には。」
普段の彼からは想像もできないような、話の内容だ。未来の事を考えて行動できるのか?コイツが。
「まだ。なんか、タイミング逃しちゃってさ、初めて来たのが、ここ横浜なんだけど、この町はオレにぴったり合ってんだよね。お前にも出会えたし。さあ!これから楽しくなるぞぉ。何てったて仲間が出来たんだからな!もう、一人じゃないんだ!」
一人、椅子の上に立ち上がり、はしゃぐ彼は少し違和感を感じる。
彼は今まで何を支えに生きて来たのだろう?
「理由は?」
「へ?何か言ったか?かなた。」
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