気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「月光?って普通、悪魔は満月の夜は、こう、力が漲ったりするんじゃないのか?」
「ん~。普通がどうか知らねぇから何とも言えないけど。オレの場合は満月の夜、月の光りを浴びると、姿が変わる。」
満月の夜。「月」で姿が変わる?
「狼男?」
「………。」
何かまずい事を言っただろうか?妙な沈黙が訪れる。
「全身毛だらけの?」
永夜に振られ、狼男のイメージを考える
「どこら辺が狼か良く分からない」
すると永夜も乗ってきた。
「なぜ狼なんだろうな?熊でも良くないか?」
「熊男?それはちょっと・・・」
「だよな。でも、あれも矛盾点が多いよな」
「お前もな」
「っふ、はははは・・・もう無理我慢できない」
と彼は盛大に笑い出す。
……なぜこんなにも笑われているのかが、理解できない。何だっつーんだ?
「おい。何がおかしいんだよ。」
問いかけても、返事はない。
なんか、ムカつくんですけど?
いっそのこと蹴りでも入れてやろうかと、本気でそう思い始めた頃、彼はようやく復活した。
「いや、悪いっ。でもさ、くっくっ・・」
そう言う彼はまだ、笑いを堪えている。
「俺は今、無性に腹が立つんですけど。」
「いやっ、だっから、悪いって言ってんじゃん。だってなあ。」
「だって、何なんだよ?」
「姿が変わるってのは、老いるって意味だよ。しかも、一気に、月光を浴びた瞬間にね。」
「…そんなっ。それじゃあ…」
「そっ。ある意味、完璧な不老不死ではない。しかも、老いるって言っても、普通じゃ考えられないほどオレは生きてる。だから、老いるイコール死を意味する。そうゆう訳でオレは満月の日は傘をさすんだ。コレ、けっこー気にしてることだったんだぜ?そうか、でも、ある意味狼男だよな。はは。」
だから、満月の夜は外へ出ることは滅多にしない。
「今日はホント、どうなるかと思ったよ。」
彼は最後にそう付け足した。そして、お前は絶対にそんな事にはなっていない、とも。
確かに、僕は今日、満月の下を歩いている。
しかし、なぜそんなことになったんだ?
「だから、召喚して、契約した悪魔を殺したから。最後の抵抗ってやつ?いちいち説明してから消滅してくれたから、オレは助かったけど。」
「悪魔を殺すとそうなるのか?」
「さあ?オレ以外の事を知らないからな…少なくともオレはそうなった。」
さっきから、こんな答えばかりだ。そもそも、悪魔を殺すなんてどうやって…?
「それは、企業秘密。」
尋ねてみるが、スルリと交わされる。
微笑みながら、そう答える彼は少し怖い。
「だって、お前。オレがこの方法を思いつくまで何年かかったと思ってんだよ。絶対に、タダじゃ教えないぞ。」
「金を払ってまで知りたくない。」
「あっ、そう…?」
少し、残念そうに答える彼に、ならばと期待込めて聞いてみる。
「ああ。何だ?訊いて欲しかったのか?」
「いんや、全然。それより、他に知りたいことは?」
やはり、軽く交わされる。
何があるのだろう。
「無いよ。なんか、お前の話し聞いても役に立ちそうもないし。」
彼には、後半の言葉は聞こえていなかったらしく、適当に相槌を打ちながら、窓際へと移動して行く。
心なしか、その後姿は寂しげだ。何故、今このタイミングで席を立ったのだ?
そんな事を、考えたのも一瞬で直ぐに思考は切り替わる。


知りたいこと…?
あるとすれば、僕は本当に「不老不死」というものなったのかどうかだ。
確かに、いくつかそれっぽい証拠を見ている。けれど、やはりどこか信じられない。
最悪、これは夢だという可能性さえあるんだ。しかし、先ほど感じた痛みもそうだが、全てがリアルすぎる。
百%そうだと言えるような証拠を何一つとして見ていない。逆に言えば、何を見れば僕は百%そうだと信じられるのだろう?
そこまで考えてある疑問が浮かんだ。
彼はなぜ、ココにいるのだろう?
窓際で、カーテンを掴んでいる彼へと視線を向ける。
「お前、イギリス生まれ、イギリス育ちなんだよな?」
「ん。まあ、一応。」
「じゃあ、何で日本にいるんだ?」
振り返ると同時に答える。
「そりゃあ、飽きたから。」
明るい口調で喋ってはいるが、表情はどこか暗い感じだ。
僕の目の前に戻ってきて、膝を抱え込むようにして座る。
「飽きた?何に?」
「ヨーロッパ大陸。」
イギリスとか答えるならまだ分かる。まさか、大陸という答えが返ってくるとは…。
範囲が大きすぎるだろう?そもそも飽きるもんなのか?
「日本にはどれくらい、居るんだ?」
「え~っと…。終戦してすぐだから…六十年近くかな…?」
「何で、他のところへは行かなかったんだよ?アメリカとか中国とか。」
「中国は人口多いから、アメリカは…そん時頭に無かったな…そういや…。それにほら、日本が一番安全だったから。興味あったし。」
「安全?」
今でこそ、日本は安全な国と称されているが、終戦直後ではそうでもないだろう。なにより、ひどい混乱状態だったはずだ。
「あ~でも、混乱状態ってのが、一番の理由かな。」
「何で?」
「だって、入り込みやすいだろう?アメリカ人が残っているから、俺みたいな容姿のがウロウロしてても何も言われないし。何より、アメリカが背後にある国だから一番安全な国になるだろうと思ったんだ。見てみたいとも思ってたし。特に京都とかさ。」
「で、行ったのか?京都には。」
普段の彼からは想像もできないような、話の内容だ。未来の事を考えて行動できるのか?コイツが。
「まだ。なんか、タイミング逃しちゃってさ、初めて来たのが、ここ横浜なんだけど、この町はオレにぴったり合ってんだよね。お前にも出会えたし。さあ!これから楽しくなるぞぉ。何てったて仲間が出来たんだからな!もう、一人じゃないんだ!」
一人、椅子の上に立ち上がり、はしゃぐ彼は少し違和感を感じる。
彼は今まで何を支えに生きて来たのだろう?
「理由は?」
「へ?何か言ったか?かなた。」

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