気の向くままに徒然と・・・
| Admin | Write | Comment |
カウンター
New!
~足跡~
[01/12 館主 遼]
[01/12 nameress]
[05/20 館主 遼]
[05/20 蒼月薫]
[04/11 館主 遼]
プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
Letter
バーコード
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

目が覚めたら部屋は真っ暗だった。
保健室には行かずに家へ帰って来てしまった事を思い出す。
制服のまま、ベッドへ直行し、そのまま熟睡してしまったらしい。
元々、保健室には行く気がなかった。当然といえば当然だ。
具合も悪くないのに、保健室に行けるほどの勇気は僕にはない。
ベッドの上からあたりを見回す。なぜこんなに真っ暗なのだろう?
ベッドから中々出られずに居た僕は、時計を見て驚いた。
午後十一時を過ぎていた。
「何時間寝てたんだよ…。」
呟きながら、ベッドから降りてリビングへ向かう。
今、この家で使われているのは僕の部屋とこのリビングだけだ。
部屋数は全部で五部屋だが、一人で暮らすには多すぎる。
使われていない部屋は、それぞれ両親の部屋と物置と空き部屋だ。両親の部屋には、あれから一度も入っていないし、今は鍵が掛けられている。
特に理由はない。
入ろうと思えば、いつだって入れる。
昔のまま、あの日のまま、時が止まってしまった部屋。
ただ、なんとなく入らないでいるだけだ。
いや、入らないのではなく…入れないのかもしれない。
空気の入れ替えすらしたことがないから、大変なことになってるだろうな。
そんな事を考えながら、歩いていた。
気のせいか、締め付けられるように胸が痛かった。
あの日から、何度も感じるこの痛みはいったい何のだろう?

空腹を覚え、冷蔵庫を開けてみるが、見事に空っぽだった。
「どうしようか…。」
文化祭に忙しく、買い物にまったく行っていなかった事を思い出す。
窓の外を見ると、天気は悪くない。
「行くか…。」
たまには、夜の散歩もいいかもしれない。
もっとも、こんな時間に開いているのはコンビニぐらいだろうが…。
贅沢は言っていられない。
外へ出ると、直ぐに後悔した。
上着の一枚くらい着てくれば良かった。十一月にもなると、夜は大分冷える。
戻るのも面倒なので、少し急ぎ足で目的地に向かった。


人なんてものは、結局のところ行き当たりばったりで気まぐれだ。
なんとなく、気が向いて家から一番遠いコンビニまで来てみたら、店を出る頃には時刻はすでに日付が変わるところだった。
ふっと見上げた空は満点の星空だった。空気が冷たいので、夏よりも星が良く見える。そして、ひっそりと満月が浮かんでいた。
「へぇー…。」
やはり、外に出てみて正解だったのかもしれない。
コンビニの袋を片手に提げながら、綺麗な空を見上げ、僕はのんびりと歩く。最初に感じた寒さは、今はまったく気にならない。
 空を見上げながら、コンビニ袋片手に制服姿で歩く高校生。
自分で自分の姿を思い浮かべる。
「相当、マヌケだよな。」
思わず笑いがこみ上げてくる。
「つーか、それじゃ、ただの不審者だろ。」
一瞬、何の事だかわからなかった。
その台詞が、自分に向けられた物だと気づくのにしばしかかる。視線を空から声のする方へと向ける。
・・・・・・・。
何だ?
影になっていてハッキリとは見えない。しかし、その声は普段から聞きなれているものだ。
けれど、今はそれどころじゃない。
彼の持っている物を目に止め、思わず再び空を見上げた。そこには、先ほどとかわらない星たちが輝いている。
「…。不審者はお前だろう?」
「え~。オレのどこら辺が不審者だっての?」
まるで、自覚がないらしい。
彼は、片手に傘を持っていた。
持っているだけなら良かったのだが、その傘はしっかりと彼の頭の上で開いている。
「何やってんだよ?こんなところで。」
「ん~。散歩?」
何で疑問系なのだろう?
「かなたこそ、こんな時間に何やってんだよ?そんなカッコで、補導されっぞ。」
「見てわかんないのか?買い物帰りだ。お前じゃないから、そんな事にはならないよ。」
しかし、永夜に言われて初めて気がついた。確かに、こんな時間に制服でうろうろしていたら補導の対象になる。
「で。何でお前は、傘なんてさしてるんだ?」
雨も降っていないのに真っ黒な傘をさす姿は、とても滑稽に見えた。しかも、彼も制服姿だ。
「あ~あ。これね。何でだと思う?」
僕が答えられるはずがない。なんだってそんなこと訊いてくるんだ?
そんなの知るかよ。

PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[136] [140] [141] [142] [144] [145] [147] [148] [149] [150] [153]
忍者ブログ [PR]
material by:=ポカポカ色=