さくらの便り 3
「住職に話が聞けるといいな」
学校から駅までの道のり。
もうほとんどの生徒が帰ってしまったらしく
歩いているのは自分たちだけだ。
「何かしら収穫があればいいけど」
クギの言葉に
返しながら考える。
毎年桜の写真を撮りに来ている人間がいれば
住職も覚えている可能性は高い。
けれど、そんな人間が一人とは限らないので
何とも言えないのだ。
「無くても花見でいいだろ」
「シンってさ、モテるよな」
「何を今さら」
「何それ?」
シンの言葉に少しばかり感動して
素直な感想を言えば、当然と言わんばかりのクギ。
それに対して眉根を寄せるシン。
「そう言うクギもモテるよなー」
「何、ソウ君拗ねてんの?」
「そーですね。どうせ、お前らとは生きる次元が違うさ」
「何、それ?」
桜の絵葉書の話をしていたいのに
どうも違う方向に行ってしまう。
そのまま意味のない会話をし続け
気がつけば目的地の駅だ。
「歩いてどれくらい?」
「10分てとこ」
「結構あるな」
「そうか?」
ホームに降り立ち階段を昇る。
改札を出ればそこは少しばかり怖い場所だった。
駅自体は小さく、それしか存在しない。
しかも、不思議な場所で道路の真ん中に存在している。
駅のすぐ両側が2車線の道路。
なんか怖いよな。
「変な駅だな」
「地下鉄だからできる技だろ」
きょろきょろとする自分とクギを放って
シンはスタスタと先を行く。
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