さくらの便り 12
考え始めたおれの後ろで
気のせいか深いため息が聞こえる。
なんて言うか今すぐ謝りたくなる感じのため息。
「本貴さん、とりあえず彼を解放してください」
おれの横に来て本貴さんにそう話しかけるシン。
彼は思い出したようにおれの両肩から手をどけた。
「これ」
そう言っておれの目の前に何か差し出される。
近すぎてなんだか良く分からない。
「手紙?」
目の前のものを凝視してその見慣れた形・大きさからそれが何かを判断した。
何より封筒にはしっかりと宛名が記されている。
「それは…」
正面で小さいが、確かに声がする。
気のせいか、彼の表情は驚きを表していた。
「すみません。俺が取りました。
でも、これは彼宛でいいんですよね」
確認するまでもないだろう。
しっかりとおれの名が書かれているそれはいったい何なんだ?
「ソウ、どこにあったと思う?」
いつまでも受け取らないおれに痺れを切らせたのか
シンは手紙をおれの前から引っ込め悪戯っぽく笑いながら尋ねてくる。
何でシンはこんなに楽しそうなんだ?
「あ!あ~」
と声を上げたそばから納得しているのはクギだ。
そんな彼の表情もどこか楽しげだ。
そんな二人の状況から考えると答えは一つ。
「骨壺の中?」
「正解」
ニヤリと笑いながら彼は言う。その言葉で思い出す。
彼がそれを骨壺の中から取り出しておれに渡そうとしていた事を。
しかし、和武さんが来たために彼は慌ててそれを仕舞って持っていたのだろう。
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