気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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そのまま3人とも、言葉を発することなく進む。
無言でいる理由はとくにない。自分は何も考えずに歩いていた。
そんな事は良くあることで無心で歩くのが結構好きだったりする。
他の2人がそんな風に歩くとは思えないので、何か考えていたのかもしれないがその中身は想像もつかない。
そのまま、少し歩けば大地の棟がすぐに見えてきた。先ほど見た姿とは何も変わっていない。
当たり前だが、ほんの少しだけ安堵する自分がいる。
そんな自分を余所に場にそぐわぬ楽しそうな声。
「なんか楽しくなってきたかも」
「え?」
自然と建物を見上げていた自分の横でレイスがそんなことを言い出した。
「だって、オレこんな事初だし」
ニヤリと笑いながら授業でもなかったろ?と問うてくる姿は確かに楽しそうだ。
「ふーん、レイスらしいね」
「そうゆうお前こそ楽しそうだけど?」
同じように横に並んだシュタ。彼の存在で初めて自分が立ち止っていたことに気づく。
「そう?」
関心無さそうに言うシュタに視線を向けると、彼は軽くとぼけてみせた。
「アキは楽しくないのか?」
不思議そうにレイスに聞かれ、答えに迷う。
正直、こんなこと楽しいか楽しくないかで括ることではない。
しかし、この3人で何かするのは初めてなので、いつもの仕事とはちがう気持ちが付きまとう。
そして、思っている以上に緊張している自分がいることも確かだ。
普段の仕事とは雰囲気が違いすぎる。
「別に」
ぐるぐると頭の中を巡る言葉を切り捨て、結果的に短くそう答えてさっさと建物内に向かっていく。
「も~素直じゃないんだからー」
「アキが素直でも怖いけどねー」
背後の会話で思わず足を止めそうになるが、ここで足を止めては負けだと言い聞かせる。
あれは態とだ。
もしかして、緊張していることがバレているのだろうか?
そんな事が頭をよぎるが、そんな事はどうでもいい。
長年の付き合いなので、隠せないことだが多くあるのは嫌な事実だ。

扉の前に着いたところで、それはタイミング良く自動的に開く。
「こんばんは」
それに戸惑う事なく、中で扉を開いた人間に声をかけ、建物内に足を踏み入れた。
「お待ちしておりました」
にっこりとほほ笑みながら立つスグリ。
挨拶も簡単に、ランプを持った彼に続き、先ほどの部屋へ向かう。
特に会話もなく部屋へ着くと、先ほどはなかったものが存在していた。
ただの壁だった場所に重たそうな鉄の扉。術で作り上げたものだとすぐにわかる。
それが多分地下への入り口だろう。
「やあ、待っていたよ」
「あの先に?」
理事長の言葉を無視して扉を指さして尋ねる。
無駄な会話をする気は一切ない。
「ああ、そうだ」
「時間は決めない、約束事は一切なしだ」
一方的にしゃべり始めた自分を見て、皆が状況を飲み込めずにいる。
「金額の相談は終わってからでいい。何か注文は?」
小さく笑って見せながら理事長に問いかける。
「・・・・一切の他言無用を願いたい。できれば、ここだけで済ませたいんだ。それ以外はキミに従おう」
しばらく、考える素振りを見せゆっくりとそう言うと、しっかりと目を合わせてくる。
「分かった」
その視線を受けとめながら深く頷いた。
「それと…」
それ以上は言わずに視線だけを僅かにずらす理事長。
「言われるまでもない」
彼の視線の先にいるのは他でもないシュタだ。
「では理事長、後ほど」
軽く頭を下げ、扉へと向かう。
後に着いて来る2人の気配を確認しながら。
制限時間はなし、相手の生死も問われない。
一番やりやすい形だ。
被害を最小限に留めるのは当り前の事だし、仕事の内容を誰かに話そうとも思わない。
そして、王子であるシュタに何かあってはならないのは当り前のことだ。
これが、理事長と取り交わした仕事内容の決めごとだ。



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