気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「さあ、知らないよ」
「あいつが寝過ごすのはいつもの事か…」
「寮長が務まってるのが不思議だよね」
ちらりとドアの方に一度だけ視線を送り、シュタに戻す。
「確かに、遅刻が原因で授業単位落としたぐらいだからな」
「それさえなければ僕らと卒業も可能だったのに、もったいない」
「例えできてもあいつはしないだろ?そうゆうやつだ」
「確かにね。おはようレイス。気分はいかが?」
「ちゃんと寝れたか?」
二人して、いないはずの第三者―レイスに話しかける。
「…ばればれって訳ね。二人とも時々意地が悪いよね」
「そう何度もやられてたまるか」
部屋の中にできた暗闇の中から落胆したレイスが姿を現すと、シュタがわずかに驚いた表情をしてるのが目に入る。
「安心しろ、シュタには十分通用している」
「え?」
「さて、いい加減出かけよう。約束の時間が過ぎる」
「アキ、一人で話を進めないでくれる?」
「これ以上、くだらない意地の張り合いをしていたって意味がない」
「待った、待った。シュタには通じてたって?」
「いるのはわかっていたけど?」
「いるのは、だろう。行こう」
一瞬表情を落としたシュタだが、すぐに視線をこちらに向けてくる。
「何だ?」
目があったので問いかけるが、彼は何も言葉を発さない。
ただ無表情でいるだけだ。
「行くんでしょう?」
やがて視線を外し、すぐ横を通り過ぎならそんなことを言う。

「だから、二人だけで会話をするの止めてくれる?オレ二人ほど頭良くなしい察する事もできないんだけど?」
「分からないことを無理に分かろうとするな。人それぞれ役目ってものがある」
部屋の出口へと向かうシュタが振り返りもせず言う言葉はどこか冷たい。
「オレ、なんか怒らせるような事した?」
そんなシュタを見て、隣にやってきたレイスがそう小さく呟く。
「気にするな、行くぞ」
シュタを追いかけ二人揃って部屋を出た。
「そういえば、レイスは知らないの?」
先ほどの雰囲気とはがらりと変わった様子のシュタがそう聞くが、生憎何の事だかは俺もレイスもわからない。
不思議そうな顔をしているのに気がついたのだろう。
「ここに誰もいない理由。そもそもきみは何を聞いているの?」
シュタの言葉を聞きながらも歩き出す、約束の時間はあまり気にしていないが、厄介な事はできるだけ早く終わらせたい。
「改装工事をするって。大体の生徒には無理を言って帰ってもらって、理由があって帰れない生徒は他の寮に移動してる」
「じゃあ、生徒がいないのはここだけなの?」
「ああ、他にはいるよ。補習を受けないといけない連中もいるし」
「何でここだけ?」
「さあ?そこまでは」
「おそらく、ここが一番近いからだろ?安全性を考えての事だと思うが」
「じゃあ、僕らの事は?」
「えっと…、やっと彼らの卒業式ができる。だけど、その前にやりたいことがあるんだ。協力してくれるね?って」
思い出しながら、理事長に言われたであろう言葉をそのまま諳んじるレイス。
やりたい事ね…。
「何をどうするのかまったく想像つかなかったけど、断る理由もなさそうだったから。まあ、オレは言われたことをやってただけだけど。それだって、お前らを出迎えて話するだけだったし」
「お前、何でそこで疑問に思わないんだよ」
呆れながらも、レイスを見るがなぜか彼は難しい顔をしている。
「どの辺が?」
「改修工事をするって言って、他の生徒を移動させたのに、お前は残ってて、しかも俺達がそこに案内されることに」
「いや。全然気にしてなかった」
決して頭が悪いわけではない、むしろ成績はいい。悪知恵だったら自分やシュタよりもずっと上だ。
ただ、時々肝心な所が抜けている。それがレイスだ。
思わず漏れそうな溜息を押し殺し、前を見て歩くことに集中する。
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