気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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「お前らと出会ってしまったという、俺の人生の選択を間違えた」
「アキ何…」
「お前らいい加減にしろよ?」
シュタの言葉を遮り、俺は二人を交互に見て言葉を発する。
「訳の分からない事を喋ってる暇があるなら、頭を動かせ。シュタ、自分の身一つで、何の準備もいらないと言い張るなら、その大層な身をしっかり今のうちに休めとけ。つまり、寝ろ。レイス、何も分からないのは良く分かる。だがな、丸腰で行って良い訳ないだろ?剣の一つでも用意したらどうなんだ?それが終わったら、お前も寝ろ」
一気に喋り終わると、二人がどこか唖然とした表情で立ち尽くしている。
「聞いてたのか?」
「それは、もちろん」
俺の問いにシュタが答えるが、本当かどうかは怪しい。
「アキ?もしかして怒ってる?」
「だったら何だ?」
「あ、おれ、部屋帰って準備してくるよ!じゃあ、二人とも後で!」
微妙な空気をいち早く察したレイスが半ば勢いに任せ部屋を出て行く。その後姿を睨みつけたシュタが呟いた言葉を俺はしっかりと聞いていた。
「逃げるなんてずるい」
しかし、気にしている場合ではない。自分にはやっておくべきことがまだまだあるのだ。
放って置いたことが良かったのか、意味もなく立ち尽くしていたシュタが自分の部屋へと歩き出す。
「キミの言った通り少し寝るよ」
「ああ、分かった」
「キミも、寝るべきだと僕は思うけど?」
「分かってる」
「…お休み」
「ああ」
本音を言えば今すぐにでも寝たい。しかし、そうもいかないのが現状だ。
最低限の準備をしたら寝よう。そう自分に言い聞かせて手元の作業に集中した。

あれから、思ったよりも作業ははかどりすぐに寝られた。
けれど、タイミングを間違えたらしく寝起きはすこぶる悪い。
「アキ?顔が怖いよ。もしかして、寝てないとか?」
「寝た」
シュタの問いに簡潔に答え、先ほど準備したものを身につけてゆく。
武器は体のあちこちに隠し持つのが自分のやり方なため、支度はかなり手間取るのだ。
そう思って早めにやり始めたのだが、シュタがすぐに個人部屋から出てきた。
その第一声が今の言葉だ。
「平気?」
「え?」
彼の次の言葉を聞き、思わず手を止め彼を見る。
聞き間違いか?
相当驚いた表情をしたらしい、シュタの眉間に皺が寄る。
彼からそんな言葉が出てくるとは思っても見なかった。無意味にできる沈黙の時間。
「平気なのか?って聞いてんの」
それを破ったのは同じような彼のセリフ。
「ああ、問題ない」
「そう。一応言っておくけど、僕だって人の心配はそれなりにするよ?」
「みたいだな」
「いつも思うけど、それ面倒じゃない?」
あちこちに武器を仕込み終わり、最終チェックをする俺を見ながらシュタが言う。
「悪かったな小心者で」
自分でいつもそう思っていた。
腕に自信があるなら、剣一本で挑めばそれいい。けれど、生憎そうではない。
総合的な意味での力には自信があるが、どれか一つとはいかないのが自分だ。
「そんな事言ってないよ。ひねくれ者が」
「お前にそれは言われたくない」
「どういう意味さ」
「そのままだ」
「そのままって?」
「…お前こそ、ちゃんと寝れたのか?」
本当に言いたい言葉を飲み込み、まったく違う言葉を発する。
「…きみに心配されるなんて僕も劣ったね」
自覚なしだったなら恐ろしい。
「ひねくれ者め」
聞こえない程度の声でそう呟いて、最後に長剣を己の腰に差した。
これで準備万端。
「何か言った、アキ?」
「いや、何も。それより、レイスはまだか?」
意味もなく部屋の中央にたたずむシュタを見て話しかける。本当になんの準備もしていないらしく、寝る前に見た姿と何も変わっていない。


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