気の向くままに徒然と・・・
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プロフィール
HN:
遼 莉杏
性別:
非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。

遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。


最近のマイブームは
『薬屋探偵妖綺談』シリーズ
羞恥心

創作仲間・相互リンクしてくれる方を常に募集中。
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・*・。*『夫婦の絆』・*。・*

先日もテレビで紹介されていた木々の間を私は足早に歩く。
私にとってはいつもの帰り道だ。
カップルで歩く二人、仲良しグループ、ダレもがみな笑顔で歩く。
そんな中、一人俯いたままの若者とすれ違う。
彼には何があったのだろう?少しだけ振り返り、後姿を見送った。
前に視線を移すと今度は温度差の激しい2人組とすれ違う。
テンションの高い一人に対して、もう一人はそんな彼を軽く流している。
そして、改めて回りに視線を移す。
色とりどりの光りを巻かれた木は普段とはまったく違う雰囲気を出していた。
もう少し、落ち着いてもいいじゃないのか?
ここ数日思うことだ。
若者にはこの派手なイルミネーションはいいかもしれないが、私には少し目がチカチカしてうるさい。
考え事をしながらも意識は常に片手の荷物にあった。今日はいつもの鞄とは重みが異なるのだ。
ケーキは妻が買ってくると言っていた。
近所で有名な洋菓子屋で「今年の一押しクリスマスケーキ」なるものを随分前から予約して買ったらしい。
私、個人としては洋菓子よりも和菓子が好みなのだが・・・。
良くて、ショートケーキそれ以上は遠慮しておきたいところだ。
しかし、そんなことを言っては妻の機嫌を悪くするだけでいい事なんて一つもない。
そんな事を考えながら、歩いていると我が家が見えてくる。
小ぢんまりとした家に、それらしくつけられているイルミネーションは去年と比べると大分進歩している。
来年は、どうなるのか少し楽しみだったりするのは妻には内緒だ。
いつの間にか習慣づいた呼び鈴を鳴らし、帰宅を知らせる。
そのまま扉が開くのを待たずに、カギを指す。
待っていても、扉が開く事はない。我が家では玄関は自分で開けるものなのだ。
返事が無い事を知っていながらも、どうしても言ってしまう一言。
「ただいま」
「おかえりなさい」
いつもは無い返事に驚き顔を上げる。そこには、ニコニコと笑う妻がいた。
めずらしい。
「ああ、ただいま」
驚きながらも、同じ言葉を今度は彼女に対して言っておく。
「何かあったのか?」
リビングへ向かう彼女の背中に問いかける。
「ええ。由香からこんなものが届いのよ」
嬉しそうに彼女が指差したのは、黒い箱だ。娘本人には、夏以来会っていないのに、こうして時々「プレゼント」が贈られてくる。
「プラネタリウムですって」
「もしかして、テレビでやってたあれか?」
「こないだ電話で話したから」
どうやら、欲しいとネダったらしい。
「娘にネダるなよ」
「いいじゃない。何か欲しいものあるかって聞かれたのよ。代わりにゆう君にプレゼント送っておいたわ」
「そうか」
「さあ、早くご飯食べちゃいましょ」
「ああ」
買ってきたものを手渡すチャンスをすっかり失ってしまった。
プレゼントの入った鞄へ視線を送る。
どうしようか。
「ねぇ、あなた。あとで、やってみてよ」
「自分でやればいいじゃないか」
「分からないのよ」
「・・・分かった」
これは、いいチャンスじゃないか。
星空を眺めながら、彼女にプレゼントを渡そう。
彼女の好きなオリオン座とオマケの一言が刻まれた、世界にたった一つだけのペンダントを。
食事の席につき、クリスマスらしさを引き立てるワイングラスを持ち上げる。
妻と視線を合わせて互いに気取ってグラスを合わせながら一言

「メリークリスマス」




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